* 恋は盲目 | ナノ



深い深い溜め息を吐いてベッドに潜り込む。本当に今日は踏んだり蹴ったりの一日だった、結局あの後急いで会議室に向かうと上司や他の面々が驚いたような顔で訊ねてきたのだ。

“副社長はどうした”

分かりません、知りませんで突き通したがやはり周りは納得していないようだった。でも私だってあの後アイツが何処へ行ったのかなんて知らないし。別に嘘はついてない。
それに明日あたり、お偉いさんに呼び出されるのだろう、君もう会社に来なくていいよ。なんて。


「あーあ、明日ツワブキ ダイゴが今日の事全部忘れて改心してればいいのに」


そんな小さな呟きは冷たい夜の空気に溶けていった。だめだ、今日は寒い。こんな寒さだから余計なことばかり考えちゃうんだよな、枕元に置いてあるボールを手に取る。

「出ておいで、ルカリオ」

真っ暗闇の中ボールから赤い閃光が放たれ私の相棒が姿を現す。昔、父に初めて貰ったポケモン、リオルが進化したのだ。クビになったら気分転換にまたぶらぶら旅にでも出ようかな。

将来の為を思って旅をやめて就職したっていうのに、なんて馬鹿な私。そう自嘲気味に小さく笑うと何かを感じ取ったのか、ルカリオが首に抱き着いてきた。

「がう」
「ありがとうルカリオ、心配してくれたんだね」
「………」
「大丈夫、後悔なんてしてないから」

ぎゅうっと抱き締める腕に力が籠る可愛い可愛いルカリオを撫でて微笑む。ああそうだ、次の日曜日にはこの子達を連れて出掛けよう。
それまでに色々計画を立てなくちゃ、と甘えてくるルカリオと一緒に布団に潜ったのだった。


「おやすみ」

 

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