* 恋は盲目 | ナノ


1−2

不満そうに散っていく取り巻きの嫉妬の眼差しを受け、頭が痛くなる。冗談じゃないこんなぺーぺーこっちからお断りだと内心舌打ちをした。
ツワブキ ダイゴも取り巻きたちと楽しくお喋りでもしていれば良いものを何故着いてくるんだろうか、非常に腹立たしい。…まあそんなこと面と向かって言える筈がないのだけれど。


「ごめんね、嫌な思いをさせちゃったかな」
「そんなこと、ないです」
「実は僕も会議に出席しないといけなかったんだけど皆が離してくれなくて」
「大変ですね」
「…君はミズキちゃんだったかな」
「な…」


彼の話なんて適当に流していれば良いだろうと、なかなか来ないエレベーターのランプを見つめていると突然ツワブキ ダイゴは呟いた。
今、何て言った?


「あの、」
「やっとこっち見てくれた」
「……は?」


父さんが優秀だってよく君のこと話すから名前覚えちゃったんだ、なんて暢気に喋り始めるツワブキ ダイゴを見て、やはり無理をしてでも階段を使うべきだったと後悔した。…今から階段で行っても間に合う訳、ないよね。


「さっからランプばかり見てるから、僕のこと嫌いなのかと思ったよ」
「そ、そんな筈ないじゃないですか」
「笑顔、引きつってるけど」
「……」


やばい、こんな馬鹿でも副社長なんだ、機嫌を損ねたら首が飛ぶなんてことも…あり得る。
何か楽しい話題はないかと必死に思考を巡らせていると、ポツリと目の前の男が呟いた。


「…まあ、そっちの方が都合が良いんだけどね」


チン、とエレベーターの扉が開く。何故か私はこの狭い空間の中でツワブキ ダイゴと二人きりになってはいけないような気がしたがガッチリと腰に手を回され、逃げることはもう出来ない。


「さ、入ろうか」



( 耳許で悪魔が囁いた。)



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