うらしまたろう / ALLキャラ
昔むかし、ある所に。
浦島太郎と呼ばれる若者がいました。
太郎はとても心優しい青年でした。
ある日太郎が浜辺へ魚を釣りに行くと・・・・・・
「やーい、ノロマでマヌケな亀めー!!俺達のセンターだからって今日は手加減しねーぞ!!」
「痛っ、痛いよ環!!壮五さん、助けて!!」
「た、環くん、ちょっとやりすぎじゃないか!?それに一方的な主観の悪口を並べるのはよくないよ!」
「うっせーな、そーちゃんももっとポカポカ叩けよ!いじめっ子の役なんだろ!」
「そんな・・・・・・。やっぱりこの配役は間違ってる。こんな事僕には出来ない!!この手は使いたくなかったけど・・・・・・仕方がない。あ!!見て環くん、あっちに大きな王様プリンがあるよ!!」
「マジかよ!!!?どこ、どこドコ!!?」
「さぁ、亀さん、今のうちにどうぞお逃げ。」
「へ?俺、今逃げていいの?」
「あ、そーちゃんの嘘つき、騙したな!!?悪い大人のやり方で!!」
「ストップ、ストップ!!2人とも勝手に台本を無視して亀助けないでくださいよ!浦島太郎が登場する前に話がハッピーエンドになってしまうでしょう!?」
ゴホンっ、気を取り直して。
浜辺では街の悪ガキ二人組、MEZZO"が亀をいじめていました。それを見た優しい太郎は、亀を助けてあげることにしました。
ちなみにナレーションは私、和泉一織が担当させていただいております。
「こら、お前達!亀をいじめるのをよせ!何でこんな事を・・・・・・。その理由、俺に話してくれないか?」
「うちの弟に何してるの?そんなに一晩中正座したい?」
「お前ら、馬鹿か!やり合うならもっと真正面から戦えよ!?亀も亀だ。ひっくり返ってないで、立ち上がれ!!それでも男か!!」
「「「・・・・・・・・・・・・。」」」
「やっぱり、浦島太郎3人って無理があるんじゃないか・・・・・・?」
「グダグダ言ってないで、僕らは与えられた役を完璧にこなすまでだよ、龍太郎。」
「天太郎の言う通りだぜ、龍太郎。俺たちTRIGGERが主人公なんだ。やってやろうじゃねーか!」
「天太郎・・・・・・楽太郎・・・・・・。よーし!俺だって、やれば出来るんだ!!」
「悪いことは言わない。君たちにも事情はあるんだろうけど、大人しく家に帰りなさい。」
「今度僕の弟に手を出したら、ただじゃ済まないよ。」
「すみませんでした・・・・・・。今後僕達MEZZO"は二度と陸くんを悲しませるような事はしません・・・・・・。僕のちょんまげでよろしければ今すぐ差し出してお詫びをします故・・・・・・。」
「ごめんね、役なんだ。」
「分かったならいい。俺達はTRIGGER。真っ向からの勝負ならいつでも待ってるぜ。」
「って、ストップ!!待ってください、ちょっとこの台本書いたの誰ですか!?馬鹿なんですか!?浦島太郎が3人いてどうするんです!?え?そこを無理やりなんとか進行しろ?・・・・・・全く。仕方ありません。如何なるシチュエーションになろうと、このパーフェクトな私が完璧なフォローをしてみせましょう。ゴホンっ!」
心優しい浦島楽太郎、天太郎、龍太郎・・・・・・浦島TRIGGERの3人は、その圧倒的オーラと先輩という立場からきちんと後輩をしつけ、街の悪ガキMEZZO"を無事追い払ってあげました。
「天にぃ・・・・・・!天にぃなら絶対助けに来てくれるって信じてた!!」
「陸・・・・・・。怪我はない?大丈夫?」
「浦島TRIGGERの皆さん、助けてくれてありがとうございます!お礼に、竜宮城へとご案内致します!!」
「俺達、3人もいるんだけど・・・・・・陸くん、運べるのかい?」
「小柄な天太郎1人ならなんとかなりそうだがな・・・・・・。あいにく龍太郎と俺はお前よりも大分身長高いぞ?」
「大丈夫です、仲間の亀を呼びます。おーい、ちょっとみんな、竜宮城までTRIGGER運ぶの手伝ってよー!!」
七瀬さ、・・・・・・陸亀は仲間を呼びました。
すぐに海から3匹の亀が顔を出します。
「呼ばれて飛び出てジャジャジャジャーン☆デス!!」
「おー、ナギ大分古いフレーズ知ってるなー。ってかオニーサンまだ昼寝の途中なんだけど・・・・・・。」
「任せてくれ、陸!!友の頼みを断るなんて男が廃るぜ!どんな奴だって俺がしっかり運んでやるよ!」
「「「・・・・・・・・・・・・。」」」
「お前そんなに小さくて本当に運べるのかよ?」
「コラ、楽太郎!三月くんが落ち込んじゃったじゃないか!!」
「陸に運ばせるなんて僕には出来ない。僕が小柄な和泉三月亀に運んで貰うから、楽太郎と龍太郎は残りの亀に運んでもらいなよ。」
「残りのって、相変わらず辛口だなぁ・・・・・・。そんなことより、お兄さん、メガネが泳ぐ時邪魔なんだよなー・・・・・・。」
「Oh、遂に時が来ました・・・・・・。大丈夫デス、ヤマト、今こそ本当の自分をさらけ出しまショウ・・・。」
「ハイハイ、これ以上ややこしくなる前にとっとと竜宮城に運ぶぞー!?全く、俺普段MCだからこの流れ、見てて正直ハラハラするぜ・・・・・・。」
過保護な兄の一声で誰も運ばず案内役となった陸亀を先頭に、TRIGGERを背中に乗せたピタゴラスタートル達は、海の深く深くにある竜宮城を目指して泳ぎ出しました。
亀と浦島TRIGGER達はようやく竜宮城に着きました。
海の奥底にある、伝説の楽園。
浦島TRIGGERは思わず目を疑いました。
タイにヒラメ、小さなエビから大きなエイまで。
沢山の魚達が舞踊ります。
「ようこそ、竜宮城へ。陸を助けてくれたんだって?ありがとう。僕は乙姫だよ。」
「ジャンジャン歌って、ジャンジャン踊って。時間なんて忘れて、飲んで食べて楽しんじゃってよ!!」
乙姫とその側近を名乗る百が挨拶をしました。
さぁ、大宴会の始まりです。
出されるご馳走はどれも美味しく、お酒も上物でした。
「夏しようぜ〜♪」
「ぶっちぎりマイウェーイ♪」
「その歌知ってるー!今人間界で大ヒットしてるサマーソング、“NATSU☆しようぜ!”だ!俺も一緒に歌っちゃお!シーゲキ的っ☆」
「あははは!!とう、うたいんど!!」
「What?何語でしょうか・・・・・・?」
「さすが百。相変わらず情報早いね。普通人間界で流行ってるものが僕らの元に入ってくるのは、だいたい100年後くらいなんだけど。」
「とーぜん!来客少ないこの退屈な竜宮城で、愛する乙姫様に毎晩のディナーショーを少しでも楽しんで欲しくて、俺頑張っちゃうんだから!そうそう、今度モノトーンって、おじさんユニットがデビューするらしいよ!」
「需要あるんかいっ!!」
「ほら、天にぃもっと食べて!竜宮城のご馳走は最高に美味しいんだよ!」
「そう言ってさっきから僕の所に持ってきてばかりじゃない。ほら、陸?あーんして?」
「お前の口から“あーん”なんて聞けるとはな。天太郎。」
「何?やって欲しいの?」
「あははは!!大和ー、さきぐわなーひん!!」
「あーハイハイ、めんそーれめんそーれ。」
「めんそーれって、人間界の言葉か?俺初めて聞いたよ。大和さんよく知ってたな!どんな意味なんだ?」
「魔法の呪文だ。」
「ファンタスティック!めんそーれ、ワタシも覚えました!ここなに脳内変換で唱えさせマス!!」
「お前さんこそ、よく人間界のアニメ知ってるよな。」
「行こうウェイクミーアーップ♪」
「お、突然歌い出した!あはは、龍太郎さん上手いなー!!」
この楽しい宴は毎晩のように続きました。
浦島TRIGGER達は時を忘れて楽しみましたが、ある日ふと思います。
「そろそろ流石に飽きてきたな・・・・・・。」
「頭・・・・・・痛い・・・・・・。」
「僕も、そろそろ帰ろかな。陸の元気な姿を見て、安心したよ。ありがとう。」
「待って、天にぃ、帰らないで!!えーっと、そうだ、ディナーショーで新しいゲスト呼ぶから!!!」
「ゲスト?」
天太郎に帰って欲しくない陸亀は、引き止めたい一心で新しいゲストを、呼びました。
「それではご紹介します、MEZZO"のお2人、登場です!!」
「「「!!!!!」」」
「君たちはあの時のいじめっ子じゃないか!」
「どういう事?」
「僕達、改心して今はアイドルデュオをやってるんです。おかげで大分仕事ももらえるようになってきました!」
「あの時の、がっくんの言葉、マジしびれた!だから、正面からぶつかりに来た。」
「そうか。嬉しいな。ならお前達の歌、聴かせてもらおうじゃねえか。」
「うす!」
「ハイっ!」
作者のゴリ押しで割り込み復活してきたMEZZO"のステージを見ながら、浦島TRIGGERは思いました。おかしい、あの時少年だったはずの二人が立派な青年になっている・・・・・・。
怪しく思い始めた3人はMEZZO"のステージが終わると、乙姫に問い詰めました。
「ねぇ、何か隠してるんじゃない?乙姫様。」
「もしかして・・・・・・竜宮城は時間の流れが、人間界とは違うんですか?」
「場合によっては、俺達は今すぐにでも帰してもらうぞ。」
「バレちゃったみたいだね。仕方ない。その通りだよ、ここは人間界よりも時間の流れが格段に遅い。MEZZO"の二人があれだけ成長するくらい、実際には時間が経過している。百、例のものを。」
「了解!お詫びと、それからお土産としてコレをあげる!ハイ、持ってってよ!!」
「これは・・・・・・?」
「玉手箱だ。僕的にはあまり使う事はオススメしない。せっかく若さという美貌を保てたんだ。感謝して欲しいくらいだよ。」
「ふざけるな!!天太郎、龍太郎、帰るぞ。世話になったな。」
「あっ、待って楽太郎!!すみません、百さん。帰りの亀の手配お願いします。」
「君たちのおかげでめちゃめちゃ楽しかったから、寂しくなっちゃうけどさ。それだけハッピーな時間くれたからいいってことで!こちらこそありがとう!良かったらまた来てよ!!」
「「「遠慮させていただきます。」」」
「ありゃ、振られちゃった!」
「気にするな。百には僕がいるじゃないか。」
怪しげな玉手箱を抱えて、再びピタゴラスタートル達の背に乗り。
浦島TRIGGER達は無事人間界へ、あの日亀を助けた浜辺へと着きました。
ピタゴラスタートルを見送り、ふと周りを見回すと・・・・・・。
「やっぱり・・・・・・。思ってた通りみたい。」
「あぁ・・・・・・。すっかり景色が変わってる・・・・・・。俺の小屋があった辺りは確か・・・・・・ん?この浜辺にあんなデカいホテル、建ってたっけ?あ、誰か出てくる・・・・・・。」
「あれは・・・・・・うちの親父!?髪の毛真っ白じゃないか!?あの高そうな車は何だ!?」
なんとそこは人が賑わうリゾート地になっていました。
龍太郎の小屋は豪華なホテルになり、楽太郎の父親はいつの間にか大きな芸能事務所の社長になっていたのです。
時間の流れに戸惑った3人は、胡散臭い玉手箱を開けることにしました。
箱を開けると、中からもくもくもくもく・・・・・・。
もくもくもくもく・・・・・・。
「すぐに蓋をして!」
「天太郎?」
「いいから!!これ以上は嫌な予感がする・・・・・・。」
「分かった、閉めよう。」
不思議な煙に覆われた3人は・・・・・・。
「やっぱり。」
「ちょうどMEZZO"の二人くらいだ!」
「あれ以上長く煙を浴びてたら大変な事になってたな。」
無事時間の進んだ分に合った青年の姿になりました。
天太郎の確かな勘が3人を救ったのです。
「楽太郎!お前どこに行ってたんだ!?しばらく見ないうちになかなか男前になったじゃないか・・・・・・。ふむ。そうだ、お前達3人をこの八乙女芸能事務所からデビューさせる!!」
「親父!?デビューだと!!?」
「これは・・・・・・。ど、どういう展開なんだ・・・・・・?」
「僕はショービジネスの世界で生きて行きたい。よろしくお願いします。」
こうして結成された、楽太郎、天太郎、龍太郎からなるアイドルグループはTRIGGERと名付けられ、人間界で大ブレイクしましたとさ。
ちなみにこの情報を乙姫や百をはじめ竜宮城の人たちが知り、驚いたのは、
10年くらい経ってからだったそうです。
おしまい。
「本当に、こんな終わり方にしてしまって大丈夫なのでしょうか・・・・・・?」
(終)
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