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「と、言うわけで!今回のMEZZO"新曲は蒼さんにお願いしたいと思います!!」
いつもより力のこもったマネージャーの声が響く。
僕達MEZZO"の新曲についてのミーティング。
爽やかで聴かせる系の曲が多いMEZZO"は、社長さんもマネージャーも、毎回作曲家にはとてもこだわりが強い。今回は一体どんな作曲家に依頼するのだろうかと、僕は内心とても楽しみにしていた。
だがしかし今何て・・・・・・?
「すみません、マネージャー。蒼さんて、もしかしてあの響蒼さんですか?」
「ハイ!今回はあえて女性の方に作曲をお願いしようと思うのですが・・・・・・壮五さん、もしかして嫌だったりしますか・・・?」
「とんでもない!僕、ファンなんです!響蒼さんの楽曲。個性的で、それでいて優しくて。嬉しいなぁ、蒼さんの作った歌を歌えるなんて!夢みたいだ!!」
「そーちゃん、興奮してんなー・・・・・・そんなにすごい人なのか?その、“ビビり 蒼”って人。」
「違うよ、環君。ビビりじゃなくて、響(ひびき)だよ。お会いした時に失礼のないよう、今からちゃんと覚えて、ちゃんと曲を聴いておくんだよ?教えてあげるから。」
「えー・・・・・・予習とか、苦手・・・・・・。」
「一曲聴く毎に王様プリン1個!」
「よっしゃ、聴く、聴く!!今すぐ聴く!!」
「壮五さん、本当にお好きなんですね、響蒼さんが。」
当然だ。
響蒼さん、彼女は僕らと歳もそんなに変わらないのに、数々のヒットソングを世に放つ売れっ子作曲家なのだ。
それに彼女の楽曲は少し、亡くなったおじさんの作る曲に似てる気がするんだ。どこがと聞かれてもうまく言えないけれど。
王様プリンに釣られてやる気を出した環君に、しっかり僕が彼女の良さを伝えなくてはと思っていると。
「環さん、やる気を出していただいた所大変申し訳ないのですが・・・今から私と一緒にお二人にもご挨拶に伺うのに、ついてきてもらいたいんです。」
「早速お会い出来るなんて・・・。環君。しっかりね!」
「うす。そーちゃんこそ、王様プリン忘れんなよ?」
「ハイハイ、分かった分かった。」
「フフッ、それでは蒼さんのお仕事場へ向かいましょう。」
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[mokuji]
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