can’t stop thinking〜気になる







知咲蒼、17歳。
私と四葉さんと同じ高校に通う現役女子高校生アイドル。
所属する女性テクノポップアイドルユニット『テクノテクニカル』通称テクテクは、若者を中心としながら幅広い世代に人気を博しており、今の日本の音楽シーンにおけるテクノミュージック人気の火付け役とも言われている。
知咲自身は“完璧過ぎるクールビューティ”の名で知られている。
テクノテクニカル以外での主な活動はモデル・・・。
どうやらドラマは今回が初めての仕事のようだ。

「容姿端麗、頭脳明晰。」

パソコンに知咲さんの情報を打ち込みながらふと違和感を覚える。
そう、私は彼女を知っている。
クラスでは殆ど人と馴れ合わない彼女だが、私達が転校してきた時、知咲さんと四葉さんの席が隣だった。そしてあろう事に彼は初日から教科書を忘れ、知咲さんに見せて貰っていた。それがきっかけなのか四葉さんと知咲さんはそれなりに親しい仲らしく、四葉さんは彼らしいおかしなあだ名で知咲さんを呼んでいた。

そして、彼女は頭脳明晰。
今の学校に私が転校してくるまで、彼女は定期試験、模試共に常時学年トップだったらしい。そして、その記録は今だに破られていない。


〇〇試験成績順位

一位 和泉一織(満点)
一位 知咲蒼(満点)
三位 △△(×点)


同列一位の二位無し。
私達の学年は毎回このような表記で張り出される。
私は今まで長いこと成績で一位をとって来たけれど、こんなことは初めてだった。毎回毎回、満点という自分と同じ成績を取る生徒は他に居なかった。先生達の話を聞くと、うちの学校のちょっとした名物になっているらしいが、私は感心と興味を持つと同時に良い意味で多少のライバル意識を持っていた。寸分の差を同じ分野で張り合える相手がいるというのは、やはり人間にとって刺激をもたらすようだ。

恐らく運動神経も良いのだろう。
テクノテクニカルのダンスは、アニメーションダンスを更にポップス調にしたもの。一見シンプルで簡単そうに見えて、あの動きは相当なインナーマッスルが鍛えられていなければ踊りこなせない。時にわざとタイミングを外して動く振り付けを見れば、リズム感の良さも伺える。






まだ17年しか生きていないとはいえ、これだけパーフェクトに揃った女子に出会ったのは私は初めてだった。







長いロングヘアーを静かに揺らしながら、真っ直ぐに姿勢を正して歩く姿が綺麗だと思った。
仮面を付けているかのように表情を崩さず真っ直ぐに見つめるその目は、切れ長で清潔感を保ちながらもどこか妖艶さも秘めていた。






教室で、廊下で。
すれ違う時、すれ違う度に。
その目は私を捉え、私もその目に吸い込まれた。
まるで言葉の無い会話をするように。







その目が苦手だった。
思わず一度捕らわれてみたくなるから。
自分と同じ、パーフェクトな人間に。







二階堂さんは嫌そうな顔と言ったけれど、決していやなわけじゃない。
感情を素直に表現出来ない私は。







むしろ嬉しかった。






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