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あれから3ヶ月。

僕達は今度のツアー最終公演に向けて慌ただしくレッスンやリハーサルを重ねていた。もちろんテレビや雑誌の仕事もあるから毎日が師走のようにバタバタしているけど、とても充実している。

今回の最終公演で、僕は初めて僕のソロ曲を歌う場を頂いた。そう、蒼さんが作ってくれた曲だ。

蒼さんとは、あれからちゃんとお付き合いすることになった。とは言ってもお互い忙しい身だし、向こうは作曲家、僕はアイドルなので、お互い時間が出来ると大体は蒼さんの仕事場で過ごしている。

この前、遊びに来たいという蒼さんの一言から僕達の寮に来たこともあったんだけど、メンバーのみんなに休む間もなく質問されたり、大和さんと三月さんが 蒼さんを巻き込んで酒盛りを始めたりと大騒ぎになってしまったので、なるべく連れてこないようにしている。

いや、違う。
僕の独占欲がそうさせている。

以前よりは、ほんの少しだけど自分に正直になれた気がする。ちゃんと受け止めてくれる仲間と、何より大切な蒼さんが僕にはいるから。









そして迎えたライブ当日。







「壮五さん、ソロ曲お願いします!」

「よっしゃー、壮五いっちょ決めてこい!」

「ソウゴ、Have fan!」

「逢坂さんなら、なんの心配もありませんね。」

「蒼ちゃん、ソウの歌聴きにわざわざ客席で観に来てくれてるんだろう?」

「そーちゃん、頑張れ!」











暗転しているステージ。
定位置に立てば、やがてリフトが上昇する。

7人ではなく、僕一人のステージ。
沸き立つ観客。
そこに混じるソロへの戸惑いの声。

スポットライトと共にイントロが流れ出す。
興奮を抑えて大きく一つ深呼吸。
鼓動と共に声が響き始める。








どうか、聴いて。
あなたの曲を、僕の歌を。








「響け! My song for you・・・!」







END (epilogueへ続く→)


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