The winner takes it all
その日、小鳥遊芸能事務所には大量のチョコレートが送られてきた。そう、今日はバレンタイン。全国のファンから綺麗なリボンや箱で包まれたチョコレート達。相手がアイドルとは言え、本気の愛情をぶつけてくれたものを無下にする訳にはいかないと、彼らは皆必死で応えていた。食べることで。
大「それにしてもすごい数だな・・・。」
三「こんなにチョコ貰うなんて、普通経験出来ないもんなー。」
陸「環の分だけ、やたら多いよね。それにみんな王様プリン味だ!ファンの子も俺たちの好きなもの、ちゃんと考えてくれてるんだー。嬉しいな。」
一「六弥さんのは、ほとんどがまじかる☆ここなの子供用玩具付きチョコレートですね・・・。」
ナ「Yes!日本のガールズ達、とても気が利きマス!これがお・も・て・な・しデスね!!」
環「何でいおりんの、時々うさ耳フレンズのオマケ付きチョコ、混じってんの?」
大
三
陸 「「「「「!!!!!!!」」」」」
ナ
壮
一「べ、別に私はこんなもの好きではありません・・・っ!おそらく、雑誌のインタビューで掲載された私のスマホに付いている皆さんから押し付けられたストラップを見たからですよ!少し考えれば分かります!!」
大「ソウの所はほとんどが手作り・・・って、これまた開ける度真っ赤だな・・・。」
壮「ハイ、僕も以前雑誌で辛党だと答えた事があったんです。ちゃんと覚えててくれてるんですね、嬉しいな。」
陸「俺・・・見てるだけで胃が痛くなってきたよ・・・。」
と、まぁこんな感じでどんどん食べるIDOLiSH7の7人。
がしかし、時が経つこと数時間。これだけの数を消化していくには途中心が折れ始めても仕方ない。
陸「俺・・・もう、もう無理かも・・・」
ナ「ワタシもここなへの愛情でここまで来ましたが・・・限界デス・・・。時には愛だけではどうにもならない事あると、そう教わりマシタ・・・。」
大「誰かー・・・ほうじ茶いれてくれー・・・。」
三「ならついでにこし餡のたい焼きもー、ぅてこれ以上食えねぇよ・・・!!」
環「俺、まだイケるけど?余裕ヨユー。」
一「四葉さんの胃袋はブラックホールですか・・・。私も限界です・・・仕方ないのでオマケだけ受け取る事にしましょう・・・リサイクル精神で。」
壮「僕も、また暴食して身体を壊すわけにはいかないから・・・。手紙はちゃんと読んで、気持ちだけいただく事にします。」
陸「壮五さん、唇痛くなってきませんか・・・?口直しとか、したくならないんですか・・・?」
壮「実は・・・少しだけ、甘いものが欲しい気がしてきたよ・・・、」
手紙は読む事、各自付属品を受け取ることで今回のバレンタインは幕を閉じるかと思ったその時。
蒼「すみません、皆さんお疲れの所申し訳無いのですが・・・。あの、その・・・私から心ばかりですがハッピーバレンタインです!!それぞれ中身はチョコレートとは限らないんですが・・・」
一
大
三
環 「「「「 マネージャー!! 」」」」
壮
ナ
陸
蒼「一織さんには、こちらを。」
一「これは・・・クールでシャープな文房具ですか。あの時のやり取り、覚えててくださったんですね。大切に使わせていただきます。」
蒼「大和さんには、ハイ、丁度飲みたくなる頃かと。」
大「お、ほうじ茶の高級茶葉!お湯沸かして早速いれようぜ!」
蒼「三月さんには、こちら。」
三「この店知ってるー!有名なショコラティエがいる所だ!コレ買うの並んだろ?スゲー!一度食べてみたかったんだ!」
蒼「環さん、どうぞ。」
環「王様プリン・・・!プリン味のチョコじゃなくて、本物の方の王様プリン!!俺今、めっちゃ食いたかった・・・!」
蒼「壮五さんには、あえてこちらを。」
壮「普通のギフトチョコレート!僕、辛いのばかりだったから・・・丁度甘いチョコレートが食べたいと思ってた所なんです。ありがとう!!」
蒼「ナギさん、どうぞ。」
ナ「Oh〜!明日発売予定のまじ☆ここ特集が載ってるアニ〇ディアデース!!もう売り場に並んでる書店ありマシタか!!Yes!フライングゲット!」
蒼「最後に、陸さんには大切な喉を冷やさないようこれを。ちょっと首、貸してもらえますか?」
陸「わぁ、寝る時用のマフラー!へぇ、ここにホッカイロ入れるんだー。嬉しい、ありがとう!マネージャー!!」
一「さすが私達のマネージャーですね。」
大「お兄さん感動。」
三「マネージャーのそういう所、好きだぜ!」
環「俺も・・・マネージャー好き、大好き!!」
壮「僕も!」
ナ「ファンタスティック!!」
陸「これからもよろしくね、マネージャー!」
この日、戦場に駆り出された山積みのチョコレートを超えて、最終的に彼らのハートの掴んだのは気合いの入ったどのチョコよりも蒼の優しさだった。
(終)
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