「謙也さん……テンポキープできてへんっすわ」
「……すまへんな。どうしてもつい速なってまうんや」
「ドラムがそれじゃセッション成り立たへんので直してください」
「仁王さん、始めより大分ピッチが下がってます。もう一度チューニングお願いします」
「室町、チューナー借りるぜよ」
「ギターはあるのになんでチューナーないんですか」
「プリ」
「チューナーないなら鳳に音もらって合わせたら良いじゃないッスか」
「動きはコピーできても音感まではコピーできないなり」
「相対音感は誰にでもあるはずッスよ」
「あらへんのやったら耳鼻科行ってください」
「おまんら冷たい……。いっそ鳳がチューナーになればよか」
「俺は良いですけど、俺がいない時のためにできるだけ自分で努力してくださいよ」
「もー早くしてよー。サウンドチェックの時間押してるんだけどー。ぐだぐだしてないで早く早くー」
「わかっとるって」
「仁王さん、ペダルは全開でお願いします。アンプのボリューム調整しますんで」
「はーやーくー!」
「先輩うるさいッスよ」
「こないだ機材の電源入れる順番間違うて、スピーカーおじゃんにしたん、誰でしたっけ?」
「私ですすみません」