<仁王視点>



アンティーク調の内装の洒落たカフェ。
バイトの採用が決まって、初勤務の日に出会った先輩。綾織楓ちゃん。


「あ、こないだ面接きてた子だ」


女でありながら俺より背が高く、恐らく180以上はあるじゃろう。
それでいて圧迫感をまったく感じさせない人。


「やっぱりホールになったね。髪の色はアレだけど、顔が良いし」

「そりゃどうも」


第一印象はそんな人。

その第一印象は大して変わることもなく、早3ヶ月が過ぎた。

彼女は大学の一回生で、平日は学校が終わって夕方から出勤。
俺は部活終わってからの出勤。
お互いに10時に上がる。

シフトが被ることが多く、恐らく店では店長の次に仲が良いのはこの人じゃと思うちょる。

この先輩は、女でありながらウェイトレスではなく、俺と同じウェイターの制服を着ている。

以前「どうしてウェイトレスの制服じゃないんじゃ?」と聞いたことがある。


「こっちの方が似合うからだって。ほら、身長高いし」


特に気にした様子もなく、いつもののほほんとした笑みを浮かべてそう答えていた。



その先輩が、先々週くらいからいつもと違う笑みを浮かべるようになった。

のほほんとしちょらん。寂しげな笑顔。

勤務中は営業スマイルを貼り付けて隠しているが、店長だってシワが目立ってきた顔に余計シワを増やして心配そうに見ちょる。



部活がオフで助っ人を頼まれた日曜日。
俺の退勤時間と先輩の休憩時間が被った。


「仁王くん、お疲れさま」

「お疲れさま、綾織ちゃん」


事務所で店長の淹れたコーヒーを一服している綾織ちゃん。


「綾織ちゃん、最近なんかあったんか?」

「何か、て?」

「なんかはなんかじゃ。寂しげな顔しちょるけん。店長だって心配しちょるぜよ。シフトの希望増やしすぎじゃって」

「別に、気のせいだよ。シフト増やしてるのは一人暮らしだからお金貯めなきゃだし」


白を切ろうとする綾織ちゃん。



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