「確か、周りから視線を向けられる、自分の身長の高さを気にしているんじゃないのか?と、言った」
「元カノさんも背が高いんですか?」
「ああ」
後輩から聞いた話では、元カノさんは月光さんの方が身長を気にしてるんやないかと思って『別れよう』と言ったらしいけど。
俺が思うに、二人とも身長を気にはしとらん。
俺も一般の成人男子に比べて身長は高いし、出歩けばそこそこ注目を集めるけど、それは最早日常的なことやし。
「月光さんは自分の身長、気にしてますか」
「いや、注目を集めるのも慣れた」
ほらな。
彼女さんやって恐らくはそう思っとるやろう。
いや、もしかすると本人が否定しとるだけで実は気にしとるんかもしれんけど。
しかし俺にはそれ以上に理由として当てはまるやろうと思う点がある。
「月光さん」
「……なんだ」
「自分が、背の高さを差し引いても、人の目を引くルックスの持ち主やって自覚あります?」
「……髪が青メッ」
「顔も! 月光さんかっこええから彼女さんも気が気やなかったんですよ、きっと」
言わんとしていることは聞かずとわかったから、月光さんの言葉を遮って、本人が無自覚やろう点を告げた。
確かに、月光さんの髪の色も目立つ。
やけどな、イケメンな彼氏を持つと、彼女はそれだけ不安になるもんや。多分。
これを聞いて月光さんなりに思うことがあるようで、無反応のまま沈黙。
まあ結局、俺の考えはほとんど憶測やけど。
元カノさんは月光さんの言葉を聞いて、彼を思って別れようと言ったらしいけど、どうもそれだけとは思えんし。
本当の理由は本人にしかわからんし。
それより、そろそろ本題に入りますか。
「月光さん」
「……なんだ」
「遊園地行きません? 俺の失恋祝いに」
「…………」
失恋は、残念ながらマジである。
ポケットからチケットを取り出す。
「誘う相手を失ったペアチケット。一人で行くの寂しんですよ」
ひらひらと揺らしながら、月光さんの反応を待つ。
「…………いつだ?」
「できれば再来週の日曜」
「わかった」
よし。
「それじゃ、待ち合わせは10時にゲートの前で」
「ああ」
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