<柳視点>
会議室前で春告と別れてから、俺と貞治は開店準備のため模擬店に向かっていた。
甘味処の前で別れ、俺が入口の暖簾を潜ろうとしていた時、何やら男の悲鳴が聴こえた。
不動峰のお化け屋敷の方からのようだ。
丁度やって来た柳生たちに準備を任せ、様子を見に行った。
行ったのだが…。
「柳さんも若い!」
何だ、この少女は。
アッシュグレイのウルフカットの男子。
その男子のシャツを握る、ワカメを彷彿とさせる髪の少女。
そして橘の三人がいた。
少女の口を塞ごうとしたが間に合わず、男子が額に拳を宛てる。
「これはどういう状況なのだろうか。先程の悲鳴が聴こえたが、その神尾たちはどうした?」
「青学の乾に立海の柳か。神尾たちは先に準備に取りかかってもらった」
現在開場時間まで、あと二十分を切っている。
「何より、これ以上混乱させたくなかったからな」
橘から事情を聞いた。
少女の声を幽霊と勘違いした神尾たちが悲鳴を上げ、橘が駆けつけたところお化け屋敷の中にこの二人がいた。
橘はこれ以上の混乱を避けるため、先程の「若い」発言を皆に聞かせないために「後で詳細を報告する」という形で彼らを準備に戻した。
「どう思う蓮二」
「春告の話を信じる前提で仮定すれば、この二人は彼のいう仲間なのだろう」
「話について行けないのだが」
「それは恐らくこの二人も同じだ」
特に少女の方は。
「生徒の通りが増えてきた。詳しくは場所を移して……うちの模擬店で話さないか。不二や越前なら聞いたとしても口外しない」
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