<雅明視点>
当然のことながら、やはり父さんも若いな。
仁王雅治はぽかんとした顔で、直紀が出ていった入口を見ている。
「……なんで男子トイレに女子がいたんじゃ」
「きゅふ」
「?」
俺の発言に首は傾げるものの、突っ込みはない。
やはり日頃から「プリ」とか言ってる男は違うのぉ。
「ちなみにヤツは男子だから、如何わしいことは何一つないぞ」
「そこは如何わしいじゃのうて疚しいにした方がよかよ。邪推してしまうからの」
本人に内緒で女子に化けさせた時点で、十分疚しいと思うが。
敢えて口に出さない。
「そうか。んじゃ、俺も行くか」
直紀に気づかれんうちに隠れんとな。
ちなみにクレンジングシートは、化粧品と一緒に俺が持っとる。
今回は一時間もかかった分、後が怖い。
「なんかようわからんが、気ぃつけんしゃい」
「どうも」
さて、正午まで隠れるかの。- 2/3 - [*前] | [次#]