<雅明視点>



当然のことながら、やはり父さんも若いな。

仁王雅治はぽかんとした顔で、直紀が出ていった入口を見ている。


「……なんで男子トイレに女子がいたんじゃ」

「きゅふ」

「?」


俺の発言に首は傾げるものの、突っ込みはない。

やはり日頃から「プリ」とか言ってる男は違うのぉ。


「ちなみにヤツは男子だから、如何わしいことは何一つないぞ」

「そこは如何わしいじゃのうて疚しいにした方がよかよ。邪推してしまうからの」


本人に内緒で女子に化けさせた時点で、十分疚しいと思うが。
敢えて口に出さない。


「そうか。んじゃ、俺も行くか」


直紀に気づかれんうちに隠れんとな。
ちなみにクレンジングシートは、化粧品と一緒に俺が持っとる。

今回は一時間もかかった分、後が怖い。


「なんかようわからんが、気ぃつけんしゃい」

「どうも」


さて、正午まで隠れるかの。



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