「お二人とも、そんなあっさり信じちゃうんですか?」


データマンなのに、は敢えて呑み込んだ。
俺たち双子も一応データマンだ。


「非現実的ではあるが、それ自体は信じない理由ではない。君の話した内容は、君自信が言ったようにあくまで可能性であり確かではない。また『嘘である』というのも証拠がない」

「君の話は実に興味深い。今は『信じないより信じた方が面白い』、といったところかな」

「あは、あははっ」


どうやらこの非現実的状況に対する適応力は父親譲りらしい。


「俺、なんであんなに焦ってたんだろ……はは」

「言っておくが『信じた方が面白い』のであって、完全に信じた訳ではないからな」

「いいよそれでも。俺だってそっちの立場ならそう考えるし、精神科勧められないだけ、かなりいい」


非現実的なこと言った後で随分と調子に乗ってると思われるだろうが、この際このまま勢いに乗ってしまおう。


「ねえ、お二人とも。話したついでに、ご協力願えませんか?」

「言っておくが、こちらは模擬店がある。開場時間までにこれから少し準備をせねばならない」

「開場後は休憩時間の都合上、あまり動けないぞ」

「仲間の捜索ではありません。通貨の問題です」


ここと俺たちの時代で小銭のデザイン等は変わっていない。
だが本来存在しないはずの、この年より未来の年に作られた物は使えない。
お札に関しては一枚一枚番号がある。この世に一枚しかないはずの番号のお札が二枚存在することになってしまうから全く使えない。


「という訳で、俺たち未来から来た連中の使える所持金足りなかったら、未来までつけといて下さい」
「「……」」


申し訳ないが、いつ帰れるか不確定である以上、飲食は必要なのだ。



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