移動先は会議室。
屋内プールは鍵が掛かっているし、学園祭中は倉庫より人がくる確率が低いからだ。
椅子に座り、源ちゃんにも伝えた限りの斯々然々を説明した。
「つまり、君達は未来から来た俺達の子ども世代で、他にもまだはぐれている仲間がいないか捜している」
「そして、どうせ過去に来たのなら未来に帰るまでに、少しでも未来を良い方向に変えるため、一部の人間は接触している」
「混乱を避けるために、この時代の人間との接触は必要最低限である。……というのが君の言い分だね」
「はい」
「つまり、」
目の前に座る父さんが開眼した。
「君は未来から来た俺の息子、ということであっているだろうか」
「はい。あと双子の弟もいます」
俺で勘繰られたんだ。これが白桜だったら……いや、白桜は慎重派で俺より賢いから、逃げ切れたかもしれない。
「そうか」
なんか父さん嬉しそう。
その横から貞治さんが若干頬を赤らめて、期待満々に訊ねてきた。
「俺の息子も来ているのかい?」
「いいえ。」
即答した。『貞治さんの息子さんは来てない』と断言できる。
「貞治さん家に息子さんはいません」
仮に来ていたとしても娘さんである。
まず俺たちの時代の学園祭に来ていたかも定かではないので、過去に来ていないと思われる。
「貞治、そう落ち込むな」
「お、落ち込んでなどいない……」
いや、どう見ても落ち込んでる。
てか、ちょっと待て。
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