「何故そこまで急かす?」

「久々のお泊まりなんだから、ご飯作ってあげたいし、もっと話もしたい」


しかしその久々のピロートークがこれだ。


「俺は、久々の後朝なのだから、もうしばらくお前の寝顔が見ていたかったのだが」


『見ていたかった』?


「……起きてたの?」

「ああ。可愛かったぞ」


しれっと言うな。
再び背中をバシバシ叩く。
小さな抵抗すら楽しそうに微笑む。きゅんってなるからやめて。

額に、瞼に、頬に、首筋に、キスが降ってきた。首に彼の前髪が触れる。
そこで笑うな。息がかかるし髪が揺れるし、くすぐったい。

「なまえは敏感だな。胸が触れ合っているだけで感じていただろう」

「言うな!ちょっと、くすぐったいって」


身を捩ると体が離れた。
と思ったのもつかの間、視界が反転し、蓮二の肩越しに天井が見える。

彼の片手は背中、もう片手は後頭部に回されていて、結局私は彼の背中を叩くしかない。

笑顔がムカつくので股間を蹴り上げたいけど、膝に跨がられているので叶わない。


「ちょ、講義はっ」

「休講だ。ちなみにこうなる確率は84%だった」


謀ったな……!

体勢はそのままに、ベッド脇のチェストに置いてあった携帯で、ポータルサイトの休講情報を見せられた。

携帯をチェストの上に戻して、彼は細い目を開けた。
ずるい。流されちゃうからやめて。


「今度は、ゆっくり寝てていいだろう?」

「いやいやっ、もう朝だし、身が持たないし、って、そこ触んなっ、ん」


私の抵抗は口吸いによって強制終了。



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