「キミがみょうじなまえさん?」


目の前に神の子が現れた。

青みがかったウェーブの髪。白い肌。美しいお顔。
それより何より、永井さんボイスが私のフェチズムを刺激する。

しかし、いざ目の前にすると怖い。
何故かって?ゲームや夢小説だったら他人事だから、黒いオーラや威圧感にも「あはは、かわいそう(笑)」と笑えた。けど、これはいただけない。

他人事じゃないから笑えない。


「クラスに来た転入生が面白い人だと、仁王から聞いてね」


あれ、私答えられてないのに転入生が私だって断定されちゃった?


「突然で悪いと思うけど、みょうじさん、大会が終わるまでうちのマネージャー手伝ってもらえないかな」


私の脳内変換で「雑用やれよ」と解釈した。
余りにも急なので、恐らく誰でもできる簡単な仕事だけであろう。

立海の試合を間近で見るチャンスである。


「やりま、」


待てよ私。大会が終わるまで、ということは全国大会のみ。立海の試合時間が他校と被ったらそっち観に行けないじゃないか。


「……せん。やりません。ごめんなさい」


全国大会の間しか観ることができない、他校を見るチャンスを逃してなるものか。


「そうか。こちらこそすまない。急にこんなこと頼んで」


あれ?なんか想像してたよりあっさり。笑みも黒くない。

呆気に取られてる私を余所に「失礼したね」と、彼は去っていった。

なんだったんだ。




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