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「何か、録音してる?」
「……何も」


私は首を振った。

私は嘘をついた。
たったひとつだけ、録音したデータが残ってる。


「なまえちゃん、そんなこと聞いたりして、どうしたの?」


この件に関しては、そっとしていてほしい。
掘り返さないでほしい。

なまえちゃんは俯く。


「そっとしておいてほしかったなら、ごめん。これは私の自己満足」


なまえちゃんは、何を満足したかったのだろう。

問いかける間もなく、なまえちゃんは「時間取らせちゃって、ごめん。ありがとね」と言い残し、今度こそ鞄を持って教室を出た。

再び一人になった教室内。

左肘に手を当てて、机に突っ伏した。



私も、愛理さんのことも、氷帝の皆が忘れていればいいのに。



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