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「何か、録音してる?」
「……何も」
私は首を振った。
私は嘘をついた。
たったひとつだけ、録音したデータが残ってる。
「なまえちゃん、そんなこと聞いたりして、どうしたの?」
この件に関しては、そっとしていてほしい。
掘り返さないでほしい。
なまえちゃんは俯く。
「そっとしておいてほしかったなら、ごめん。これは私の自己満足」
なまえちゃんは、何を満足したかったのだろう。
問いかける間もなく、なまえちゃんは「時間取らせちゃって、ごめん。ありがとね」と言い残し、今度こそ鞄を持って教室を出た。
再び一人になった教室内。
左肘に手を当てて、机に突っ伏した。
私も、愛理さんのことも、氷帝の皆が忘れていればいいのに。- 2/2 - [*前] | [次#]
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