1/2

〈side.R〉


『本当のことを言っているなら、声をあらげる必要はないんじゃないですか』


違うよ、長太郎。
本当のこと言ってても、耳を傾けてもらえないことを怖れて声をあらげてしまうんだよ。

……今なら、冷静に理屈付けて説明できるのに。

あの時、信じてくれていると思っていた仲間から、その信頼が揺らいでいると知って、私の思考回路は上手く働かなくなってしまった。
余計に疑念を抱かせてしまっただろうか。

私はただ「信じて」としか言い返せなかった。





結局、何も説明しないまま転校した私は、逃げたと思われているのだろうか。

日誌を書き終えて机にトンッと立てる。
ふと入口を見ると、なまえちゃんが戻ってきたところだった。

置きっぱなしにしていた鞄を取りにきたのだろう。


「瑠依ちゃん」


なまえちゃんは後ろの自分の机ではなく、私の目の前に来た。

パタンッと倒れた日誌。


「先に謝っとく。ごめん」
「な、なに?」


あまりの彼女の剣幕に、座ってなかったら後退りしているところだ。

なまえちゃんは机に両手をついた。


「聞かせてほしいの。瑠依ちゃんの無実を証明できる何か。何でもいい。些細なことでもいい。手がかりがほしい」
「なまえちゃん、」


証明できる何かがあったなら、自分でなんとかしてるよ。

私は言葉を飲み込んだ。
これはただの八つ当たりだ。

不思議に首を傾げるなまえちゃん。

ブレザーのポケットに手をいれて取り出したのは、未練がましく持っていたICレコーダー。


「彼女にバレないように、証拠を残そうとしたの。でもダメだった。彼女、最初の一回目以来、何も仕掛けてこなかった。私が虐めてない、嵌められた証拠はない」



- 1/2 -

[*前] | [次#]

「#エロ」のBL小説を読む
BL小説 BLove
- ナノ -