2/3
「ていっ」
「あだっ」
幸村ほったらかして考えてたら、軽く頭にチョップくらった。
続いて頬を伸ばされる。
「無鉄砲に首突っ込んで行けよ。いつもみたいに」
あれ? 私後先考えずに行動したことあったっけ?
……思い出せないけど、結構ある気がする。
びよ〜ん。ぺちっ。
気が済んだのか、指を離され両頬を軽く叩かれ、また元に戻った。
「一人で乗り込む勇気なんてないです」
「今まで勇気がどうこうなんて考えて行動してたことあるの? 無いよね。考えると同時に喋ってるか、考えるより先に手が出るかだもんね」
「否定させろ。せめて否定できる隙を与えろ」
「どうせ事実だから否定できないだろ。俺がそんな無駄なことすると思うかい?」
「思わない」
幸村の言うことはムカつくことに正論だ。
眉間に皺がよる。
真田みたいなったらどうしてくれる。
「ふふ、」
唐突に幸村が笑いを溢した。
「なんなの、どうしたの?」
「いや、みょうじが怒れるくらいの元気はあるみたいで、ちょっと安心した」
ここ最近表情変わらないくらい元気無さそうだったから。
私が余程不機嫌な顔をしていたのだろう。幸村は笑う。
幸村の笑い声に、毒気を抜かれた。
「なんか幸村のみょうじなまえ像聞いてたら、考えるのが馬鹿らしくなった」
「ふふ、その方がお前らしいよ」
「明日の放課後、乗り込んでみる」
なるようになるさ。
それが私という存在らしいから。
「どこに乗り込むつもりかは知らないけど、頑張れ」
頭を撫でられる。
頭に置かれた手をやんわり払った。
「そんな風にするから、女の子たちが勘違いするのに」
「ふふ、みょうじはそんな女の子じゃないでしょ」
「まあね」
そろそろ瑠依ちゃんも日直の仕事が終わってる頃だろう。
「それじゃ、行くね」
私は立ち上がり、教室へ向かう。
「……勘違いしてくれればいいのに」
後ろから聞こえてきた、冗談とも願望とも、非難とも取れる呟き。
幸村がどんな顔していたのかは知らない。
その呟きは聞いてないことにする。
- 2/3 -
[*前] | [次#]
←