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しかしながら、それと瑠依ちゃんの触覚喪失と何の関係があるのか。


「でもね、彼女、彼らの学校での生活とか、交友関係とかは知らなかったみたい。私みたいな、彼らと付き合ってる人たちの存在には特に驚いていたし」


まあ、ファンクラブは私でも予想つくけどね。


「で、侑士の恋人で正レギュラーのマネージャーもしている私が目をつけられちゃった」


逆ハーや、誰かを狙ってトリップしたなら、恋人たちの存在は邪魔な訳だ。


「目をつけられて、その後どうなったの?」


聞くまでもなかった。
瑠依ちゃんが話してくれたのは、まあ所謂嫌われ夢でよくある内容だった。

相手が二人っきりの部室でドリンク被って、瑠依ちゃんが掛けたことになったり。
そのことが噂になり、全校に広まって見知らぬ他人からも嫌がらせを受けたり。

仲間から信じてもらえなくなったり。


「あ、皆が信じてくれなくなった訳じゃないよ」
「誰?」


思わず低い声になった。


「え?」
「誰? その裏切り者は」
「裏切りって訳じゃないと思う。彼なりの正義で、平和を望んだ結果、私は信用を失ったことになるだけで」


今の発言で私は直感的に思った。
それ絶対に鳳だ。


「でも、真っ向から全部否定された訳じゃないから」


それでも鳳は今度、一発殴ってやる。


「それで、触覚がないのはどうして?」
「精神的な、過度のストレスによるものかもしれないって」


彼女は嫌がらせという言い方をしたけれど、暴力も受けていたのかもしれない。
触覚や痛覚をなくしたのは、きっと彼女なりの防衛反応。


「親の転勤で、立海にきてから大分感覚を取り戻したけど、またなくなったみたい。昨日、氷帝生に話しかけられてから、急に」
「嫌がらせしてた人?」

瑠依ちゃんは首を横に降った。


「ううん。でも、その人からは何も悪いことされてないのに、氷帝のこと思い出したら怖くなっちゃって、逃げ出した」


チャイムがなる。
部活動をしている一部の生徒以外の最終下校時刻。
もう帰らなくてはならない。


「もうこんな時間だったんだね」
「あ、私教室に鞄置いてきたから、取りに行くね」


立ち上がる瑠依ちゃん。私も立ち上がる。

あれ、でも私の鞄は?
帰宅しようとしていたから、教室にはないはずだ。

そうだ。瑠依ちゃん追いかける時に投げ出して、そのままだ。


「……私、鞄ほったらかしてきた」
「……ごめん。私が逃げた時だね」
「多分。じゃあ、また明日」
「うん、バイバイ」


保健室の前で小さく手を振り、瑠依ちゃんと別れた。





「あれ?」


そういえば、小学校から痛覚がない理由は、聞いていない。



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