彼が知らないのは、おそらくテイトに構っていたから。今のお気に入りと、元お気に入りとでは、残酷なまでにヒュウガの中での存在感が違う。

「まあいいや。それよりコナツ、ただいまのちゅー」
「え、ちょっ……」


いつの間にか自室の中に連れ込まれ、背中から抱きこまれていた筈が向かい合うように抱かれている。
こういう所の行動力は仕事に生かせと言いかけたコナツの口は、出しかけた言葉を発する前にヒュウガのそれで塞がれた。


ただいまのちゅー。と可愛らしく言っておきながら、ヒュウガは深く貪るかのようにコナツに口づける。

きゅっと引き結ばれたコナツの唇を舐めて、時折甘噛みしては口を開けろと催促する。声に出して言わないあたり、よほど彼は焦れていたのだろう。


(これは……口を開いたら負けだ)

そんな対抗心に燃えたコナツは、何とかヒュウガのペースに持って行かれまいと必死だ。そんな風に必死になっている彼の表情をちらりと一瞥したヒュウガは、コナツの腰に回した手を片方だけするりと動かした。

「ひっ……!」


背筋を指先でなぞられる感触に、コナツは悲鳴のような声を上げて体をびくつかせた。

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