6 べたべたに甘やかして、思考が溶けるほど語り合って肌を交えて。 愛情という生ぬるい感情に浸るうちに、きっと自分は変わってしまったのだとコナツはぼんやりと思う。 それが飽きやすい刹那的な彼の“万人に対しての愛し方”だったとしても。 (どうして、誰かの特別になるのはこんなに難しいんだろう) 答えの出ない問いに、コナツはわけもなく叫びたくなった。 「コーナツ!今日も仕事お疲れ様☆」 「うわあ!」 ぼんやりと考え事をしながら歩いていたコナツは、自室のドアに手をかけたところで突然後ろから何者かに抱きこまれて思わず叫んでしまった。 確かめなくても犯人は一人しかいないとわかっているコナツは、考え事に集中するあまり彼の気配を感じられなかったことに羞恥が湧き上がった。 「少佐……」 「もー!コナツったら、書類出しに行ってから直帰なんて聞いてないよ!」 「言いましたよ」 抱きついたまま嘘だとわめくヒュウガに、呆れの混じった深いため息をついた。ヒュウガは聞いてないと主張するが、コナツは執務室を出る前にきちんと直帰する旨を伝えており、アヤナミの許可も得ている。 [*prev] | [next#] (←) |