3 ヒュウガの与える愛情があまりにも大きすぎて忘れていたが、最近になって再び心に巣食い始めたそれ。 ヒュウガは、一度飽きたら子供よりも残酷にあっさりと捨ててしまうのだ。 それが“もの”でも、“人”であったとしても――だ。 「少佐、今お茶を入れてきますから、お願いします」 「うーん……あ!」 書類を前にごねるヒュウガを宥めすかして、彼好みのお茶を入れて、一緒に仕事をする。それが、何時ものパターンであった。 半ば癖になっている言葉をいつものように言ったコナツに対して珍しく浮かない返事を返したヒュウガの表情は、一瞬のうちに満面の笑みになった。 彼の視線は、コナツを素通りして後ろの人物だけを見つめている。 「テイト君!」 次いで発せられる言葉に、コナツは身を強張らせた。たった五文字の単語が、鉛のように心にのしかかる。 ヒュウガの視線は、コナツの後ろを何やらメモ帳とにらめっこしながら通りかかったテイトへと注がれていた。 [*prev] | [next#] (←) |