魔法


「ねぇ、哲」
「何でしょう」
「魔法ってどうしたら僕にも使える」

夕食を済ませ、いつものように小動物と指遊びを楽しんでいた主が至極真面目な顔でぽつり。

「魔法ですか」
「うん、そしたらロールとも喋れるしヒバードにだって乗れる」
「そ、そうですね…」
「ヒバードやロールも増殖し放題だし、ロールのちくわだってたくさん作れる」

本気かどうかわからない口調で、要求はどんどんエスカレートする。
そして袂から何かを取り出したかと思うと、目の前に置かれたのは札束。しかもたくさん。

「きょ、恭さん?」
「これで魔法作って。3日もあれば十分でしょ」
「え、それはさすがに…」
「この子達も欲しいって言ってる」
「キュ!」
「マホウ、マホウ!」
「しかし、その…」
「君、何でもするって言ったじゃないか」

確かに言った。言ったが…

「出来ないなら良いよ」
「いえ、そういうわけでは…」
「なら早く」
「ピ!」
「クピ♪」
「そ、そんな…!」

いくらなんでも無茶すぎる…!


「はっ!」

目を覚ますとそこは布団の上。

「ゆ、夢…」

脱力しながら安堵するも、この5分後に同じ要求をされると思わなかった草壁だった。


2012.11.22→2013.1.29



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