お手伝いのつもりだったんだよ編ツナ獄なオマケ 膝の上ですやすやと眠るナッツのタテガミを撫でる。ふわふわとして気持ちいい。 「気持ちは嬉しいけど、まいっちゃうよね」 困った風に眉寝をよせて笑う綱吉の隣に、獄寺は腰かけた。 ベッドの端に並んで座る綱吉と獄寺は、ナッツのかわいい寝顔を見て緩やかに口許を引き揚げる。 リボーンから散々説教を受けて帰宅し、乾いてしまってなかなか落ちないナッツの前足のインクを洗い終えたのがつい先程だった。 「飼い主に似るっていいますからね」 「えー。そりゃあんまり役にはたたないけどさぁ、俺ってそこまで周りに迷惑かけてるかな」 口を尖らせてむくれる綱吉に、獄寺は笑いながら掠めるようなキスをした。 「そうじゃありません。大切な人のために動くとき、ご自分を投げうってでも黙ってやり遂げようとするところですよ」 「うっ…」 「それが貴方とナッツの美徳であり、困った性格ですね」 ミルフィオーレとの闘いのことを言われたんだとわかり、綱吉は返す言葉が見当たらない。 無防備な表情で眠るナッツを撫でながら、綱吉は参ったなと肩をすくめた。 「…もうしないよ」 「当たり前です」 「いっぱい傷つけた」 「今さらお分かり頂いて光栄です」 嫌味なくらい奇麗にニコッと微笑む獄寺を、右腕で抱き寄せた。 後悔はない。あのときは、他に道がなかったのだから。ただ遺していく恋人を思うと、胸がつかえてひどくいたけれど。 「君と生きていたいから…守りたかったんだよ」 「はい。――だから、次は置いていかないでくださいね」 「うん。ごめん」 …ああそうか。 ナッツは俺を助けようとしてくれたんだよな。 仕事をこなす綱吉の傍で、大人しく待つ子ライオンの姿を思い返せば、寂しいのと同時に力になりたいと考えたのかもしれない。 大事な人を守りたい気持ちは、綱吉とナッツの胸の中にしっかりと根付いていた。 「…おやすみ、ナッツ」 寝返りをうったナッツの「がうぅ」という寝言が聞こえる。 綱吉は幸せな夢に微睡むナッツへ微笑んで、ベッドサイドのランプを落とした。 |