お手伝いのつもりだったんだよ編


「あれ、雲雀さん。ロールを置いていくんですか?」
「だからなに?」
「いやぁ、珍しいなー…なんて」
雲雀の鋭い眼光に、綱吉はたじろいだ。
動物を大事にする雲雀はいつもロールとヒバードを連れていた。だから気になっただけだ。ちょっと尋ねただけなのに雲雀の機嫌を損ねてしまったらしい。
もう10年の付き合いになるのに、綱吉は未だ雲雀の地雷がどこにあるのか見当すらつかないでいる。

「時間に遅れる。早くしなよ」
「あ、そうですね。すみません」
綱吉は左腕に着けた腕時計を見た。主要マフィアのボスで構成されたコミッションの会議に、主賓のボンゴレボスが遅れるわけにはいかない。
綱吉の右腕である獄寺隼人は別件の重要会議に出席しており、雲雀に白羽の矢が当たった。
無論、それだけの理由で動く雲雀ではない。コミッション参加メンバーに、雲雀が探っている匣を所持した人間がいることからついでを頼まれた形だった。

部屋を出ようとする雲雀の後を追ったロールは主に「君はお留守番だ」と言われてひどく気落ちしていた。
(雲雀さんでも“お留守番”っていうんだ…)
変なところでツボに入った綱吉は悲しげに鳴くロールに同情しつつも、口元を抑えて笑いを耐える。

「…なに?」
「ぷへっ!?あ、あは、いえ何でもないです…」
まずい、雲雀の機嫌がさらに悪化した。これでは会議に向かう前に咬み殺されてしまう。
慌てた綱吉は自らの匣を開匣して、大空の匣アニマル・ナッツを外に出した。
「ほ、ほら!ロールもナッツと一緒なら平気だろ?暫く出しておくから、二人で仲良くするんだよ」
「がぅ!」
「クピピー!」
予定の時間に遅れそうになった綱吉は小走りで雲雀の後を追い、執務室のドアが音もなく閉められた。

 * * *

「がぅがぅ」(ツナ、どっか行っちゃった…)
「キュキュー」(雲雀さんも行っちゃった)

大好きな主二人は、仕事へ出かけてしまった。
少し寂しいけれど、ロールとナッツは久しぶりに会う友達へ、鼻先を顔に近づけてご挨拶。

「ガゥー…」(最近、ツナは忙しそうだなぁ)
「キュ?」
ナッツは窓の桟へ上ろうとジャンプを試みたが一度コロンと転がってしまい、今度は慎重に登って外を見た。ロールもナッツに続いたが同じ場所で転がって、やはり慎重に登りなんとか窓の桟にたどり着く。
これが同じく匣アニマルの嵐猫・瓜ならばヒラリと華麗に宙を舞い、苦もなく目的の場所にたどり着くだろう。
ロールもナッツも動物の割にはドジだった。似た者同士だから仲良しになれたかもしれない。

ロールがナッツの視線の先を追うと、雲雀と綱吉が車に乗り込むところだった。
「がうがう!」(いってらっしゃい、ツナ!)
「クピー」(雲雀さーん)
呼び掛けたところで、完璧な防音が施された室内から二匹の声が届くはずもない。
ナッツは細いしっぽを地に向け項垂れた。
「がううぅ…」(ツナ。最近遊んでくれないな。お仕事大変なんだよね)
「キュ?クピピー」(ナッツの飼い主は遊んでくれないの?雲雀さんは、いつも一緒にいてくれるよ)
雲雀は常にロールを傍に置いていたが、多忙になると彼に構わなくなる。ロールがそうと気づかないのは、寂しい想いをさせまいと兄弟分のヒバードが雲雀の代わりに遊んでやっていたからだった。
まだまだ幼いロールは、彼の預かり知らぬところでたくさんの愛情に包まれながら、みんなに見守られて成長している。

一方、ナッツが開匣されるときは大概、傍に瓜がいた。綱吉の右腕、獄寺の匣アニマルである瓜はナッツやロールと違ってなかなか狂暴だ。何度追いかけ回されたか数えきれない。
大人しい性格のナッツに対して瓜は自由奔放、傍若無人。同じ猫科のアニマルと思えないほどナッツと性格が真逆だ。嫌いじゃないけれど、ナッツは瓜が少し苦手だった。

余裕があればナッツを匣から出して遊んでくれる綱吉だが、近頃は匣から出してもワークテーブルから離れず紙を眺めては右から左に移動させていた。
ナッツが遊んでとせがんでも「仕事中だからね」と抱き抱えられデスクから下ろされるのがオチだ。

「がぉっ!」(“お仕事”なんか、なくなっちゃえばいいのに!)
ナッツには“お仕事”がどういうものか分からない。
とても重要であるらしい、というのは綱吉や獄寺を見ていればわかるが、綱吉を遠くに感じて寂しかった。

「クピ!」
ロールが何かを思い付いて、つぶらな瞳を輝かせる。
「クピクピー!」(じゃあね、お仕事をお手伝いすればいいんだよ!)
「がう?」
「キュキュ!クピピー!」(ヒバードは雲雀さんのお仕事をいつも手伝ってるんだ!だから遊んでもらえるんだよ)

なるほど、その手があったか。ナッツは目から鱗が落ちた。
綱吉が帰宅するまでに“お仕事”を終わらせて、今日は綱吉と遊んでもらうんだ!
もしかしたら「偉いね、ナッツ」なんて誉めてもらえるかもしれない。
ナッツは期待に胸を膨らませて、いつもヒバードの仕事ぶりを見ているというロールにも手伝って貰いながら行動に移すことにした。

* * *

まずは、なんとか綱吉のデスクによじ登る。
何度も落ちそうになり、やっとの思いで二匹が目的地についた頃にはペン立てやインクが床に落ちてしまっていたが、それは仕方のない犠牲だ。
ナッツとロールの目的は、お仕事だから。

具体的に何をしたらいいかわからず悩んでいると、ロールが素敵なアドバイスをくれる。
「クピーキュウキュウ」(ヒバードはね、雲雀さんに紙を渡していたよ)
「がう?がぅがぅ」(紙を?…これかなぁ)
右側に積まれた書類と、左側に積まれた書類を交互に見る。左側のほうが断然少ない。つまり、溜まっている右側がツナの“お仕事”だと思った。

「がぉー」(届かないね)
「クピィ」(高いね)
右側の書類はナッツたちの身長の3倍以上はありそうだ。
仕方なく、ナッツは目の前に1枚だけ飛び出た紙をくわえて後退りした。

ドサドサドサー!

書類の山はバランスを崩して、ロールとナッツに降り掛かった。
窒息しそうになりつつ、なんとか紙の海から顔をぴょこっと上げた二匹は顔を見合わせて笑った。
何枚か床に落ち、先にこぼしたインクのうえに重なっていたけれど、これだけたくさん紙があるのだから多少ダメにしても平気だろう。

「クピクピ」(紙が崩れたからお仕事しやすくなってよかったね、ナッツ)
「がぅ♪」
やる気充分の二匹は、さっそく山ほどあるお仕事に取りかかった。

(確か、ツナは紙にぺったんってしてた)
ただ右から左に置けばいいというものではなかった。
ナッツは仕事をしている主の姿をすぐそばで見ていたから分かる。綱吉は何かをしていたはずだ。
「クピー」(雲雀さんもやってたよ。なんか書いて、ぺったんって)
「がうがう!」(じゃあ、インクがいるよね!)

――二匹はハッとした。
インクは先ほど、床に落としてしまった。
苦労して登ってきたのに、また床にいかなきゃいけないなんて。

「キューキュキュっ」(じゃあさ、この紙をぜんぶ床に落としちゃえばいいんだよ)
「がぅ!がーぉがーぉ!」(凄い!天才だよロール!)
ロールの機転によって二匹は口でくわえたり、体で押してなんとか机の書類を床に落とした。
それだけでも重労働だったが、すべて綱吉のためだと思えば誇らしくもある。

やっと机が片付いた頃、紙を移動させたためフラフラになった二匹は、仲良く足を滑らせて床に散らばった紙の上に落ちた。
――さぁ、ぺったんってするぞ!
二匹は燃え盛るやる気を携えて、前足をインク瓶に突っ込んだ。

* * *

ガリガリ。
爪で扉を引っ掻く音の後にコンコン、とノックが2回鳴り響く。

「ツナ?いねぇの。次郎がさぁー…。って、アチャー」
ボンゴレ10代目雨の守護者・山本武が綱吉の執務室へやってきたところだった。
山本が扉を開き、その隙間から柴犬がスルッと入りロールとナッツの元へ駆け寄った。
「ワン!」
「クピッ」
「がううぅ〜」
山本の匣アニマル・雨犬の次郎は異変を察知して、飼い主の山本をここまで連れてきた。

執務室の散乱状態に山本は肩をすくめる。足元にあったのはインクまみれの重要書類だ。
「あーあ、ハデにやっちまって…。これみたらツナのやつ、泣くかもな」
「がう!?」(どうして!?)
ロールとナッツに衝撃が走る。二匹とも綱吉のために一日中頑張ったのだから。

「ま、やっちまったもんは仕方ねーよ。後で一緒に謝ってやるって」
感謝されこそすれ、どうして謝らなければいけないのか、ロールもナッツも納得ができない。

「ワゥン?」(どうしてこうなったの二匹とも)
次郎は意気消沈なロールとナッツに声を掛け、二匹は綱吉のためにお仕事を手伝ったのだと正直に話した。
遊んでほしかった、構ってほしかった。力になりたかっただけなのに。
ロールとナッツの瞳に、いっぱいの涙が浮かんでいる。

次郎は二匹に小さく頷いて、自分の主を見つめた。
「ん?どした、次郎」
自分に山本の意識を向けると、次郎は紙をくわえてナッツとロールに差し出した。
彼らは揃ってインクで汚れた前足を紙の下にぎゅうっと押し付ける。

次郎は主を振り返った。
見上げた寂しげな瞳は、山本に「怒らないで」と訴えかけているようで。
山本はニッと笑うと、三匹の前にしゃがみこむ。
「…ん、そっか。ツナの手伝いをしたかったのな」
「ワンッ」
言いたいことを理解してくれる主のことが、本当に大好きだと次郎は思う。
次郎から見てもロールとナッツが暴れて散らかしたようにしか見えない状況でも、次郎の気持ちを汲んで「優しいのなっ」とロールたちを撫でる手のひらは力強くて暖かい。

――この後、誉めることもなく顔面蒼白になって立ち尽くす羽目になるだろう親友を思いやって、少しはサポートしてやらなきゃなと思う山本だった。

* * *

「んなーーー!何やってんだよナッツ!」
「がうううぅ…」

近年希に見る綱吉の怒声に、ナッツは小さな体をさらに縮ませて慌てて山本の足に隠れた。
「未決算の書類に…契約書まで!なんでこんなイタズラするんだ!」
「まぁまぁ、落ち着けよツナ」
綱吉は山本に歩み寄り隠れて出てこないナッツを捕まえようとしたけれど、山本はそれを遮るように綱吉の肩を押した。
「ツナの力になりたかったんだってさ」
「…散々めちゃくちゃにして、重要書類もダメにしたのに、力になるもないだろっ」
綱吉の大声に体がびくりと強張る。
こんなに怒った綱吉を見るのは初めてだ。ナッツは怖くて悲しくて、涙が止まらない。
ツナにたくさん喜んで欲しくて頑張ったのに。

綱吉の執務室までロールを引き取りに訪れた雲雀は、部屋の惨状をざっと見て、ナッツ共々山本の足にしがみついていたロールを見つけた。
「…なんでキミまで真っ黒なの」
「クピ!…キュウウゥ」
ロールはお迎えに来てくれた雲雀に気づいてすぐさま駆け寄るが、雲雀の足先にしがみつくまえに急ブレーキをかける。
いつもなら全力で甘えてくる針ネズミの奇怪な行動に首をひねりつつ、雲雀は前足が真っ黒なロールを両手で抱えた。
大好きなはずの真っ直ぐ見つめる漆黒の瞳が、今は怖い。
(…どうしよ、ロールも雲雀さんに嫌われちゃう?)
そう思うと涙が止まらない。

いけないことをした。お友達の役に立ちたかっただけなのに。
どうすれば雲雀さんに伝わるんだろう、どうすれば嫌われないで済むの?

雲雀がロールを手だけで持ち上げていたため、後ろ足はだらんとぶら下がり前足は脇に雲雀の指があって自由に動かせないから、ロールは直立したような状態でポロポロ泣いた。

床の紙には、二匹の足跡がついた書類。前足だけについたインクの塗料。
雲雀の表情がふわっと和らぐ。つぶらな瞳からあふれだす雫を雲雀がそっと指でぬぐうと、ロールは驚いて主に目を向けた。ロールの予想と違い、優しい眼差しをした大好きな雲雀の微笑みが目の前にある。

「ロールが気にすることないよ。仕事を溜め込んでる沢田綱吉が悪い」
「――うっ、それを言わないでくださいよ雲雀さん」
「だってそうでしょ。それにロールはそこの彼のために、キミの仕事を手伝ったんだ。菓子折りの一つくらい持ってきなよ」
「てつだいって…」
「パートナーの気持ちもわからないだなんて、キミも相当頭が悪いね」
沢田に言い捨てると、汚れたロールと共に雲雀はボンゴレのアジトを去っていった。

綱吉はパタン、と閉じられたドアを呆然と見つめた。
――パートナーの気持ちって?

「あのさぁ、ツナ。最近ナッツと遊んでやったか?」
困ったように笑う山本を見ても、綱吉はいまいちピンとこない。
「ツナが仕事ばっかしてっから、助けてやりたかったんじゃね?そしたら空いた時間であそべるしな!」
山本の足から、こちらを恐る恐る伺うようにナッツがそろりと顔を出した。
「がぅ、がぅぅ」
悪いことをした、と反省はしているらしい。
臆病な子ライオンは叱られることに慣れておらず、ひどく怯えていた。

最近のことを思い返せば、確かに開匣しても構ってやっていなかったように思う。
…ナッツにこんなことをさせた非は、自分にあったかもしれない。

はぁ、とわざとらしいほど大きなため息をついて綱吉はしゃがみこんだ。
「なぁ、ナッツ。気持ちは嬉しいけど、人に迷惑をかけることはやっちゃダメだ。この紙1枚にも、たくさんの人の苦労や努力が詰まってるんだぞ。わかるよな」
「がぅ…」
(ツナ、やっぱり怒ってる。どうしよう。ナッツはツナに捨てられちゃうのかな)

良かれと思ってやったことが仇となり、こんな風に嫌われてしまうなんて。
またいつ怒声が落ちるかわからない。恐怖で身動きが取れなかった。

「それで、俺もごめんなさい。ちゃんとナッツと遊んでやればよかったんだよな。しょっちゅうとはいかないけど、ナッツに心配かけない程度に一緒にいるから」
「がう?」
「…仲直りしようか?」

綱吉が両手を広げて照れ臭そうに笑う。
おいでって、言われてるみたいだけど…
(ツナは、ナッツのこと嫌いになったんじゃないの?)
さっきまで感じていた恐怖のせいで、足がすくんで動けない。

「がうがうー」(怒ってないの?ツナ)
「怒ってないよ。ナッツの体も洗わなきゃ」
まるで言葉が綱吉に通じたような返事。さっきとは違う涙が次から次へと溢れ出す。

ツナ、ツナ、ごめんなさい
許してくれてありがとう

早く差し伸べられた綱吉の温もりを感じたい。ナッツは泣きながら駆け出した。
「がうっ…」
「なんじゃこりゃあああああー!」

さっきのツナ以上に、大音声が執務室に響く。
ナッツはそれはもう文字通り飛び上がって驚いた。
「…ご、ごくでら、くん?」
「――何があったんですか?どうやったらこんな状態になるんですか10代目っっ!!」
「まぁまぁ、落ち着けよ獄寺ぁ」
「これが怒鳴られずにいれっか!」
「あわわ、えぇとっ。ごごごめんなさいっ!ちょっと、俺が…っ!」

…鬼の形相で怒る獄寺を見て、やはりとんでもないことをしてしまった、とナッツは改めて身を縮めた。
綱吉と山本は怒り狂う獄寺に必死で言い訳している。
(ツナ、ごめんなさいぃ〜)
思わず伏せをして逃げる自分が情けない。

ナッツが落ち込んでいるのも知らず、獄寺の肩にいた瓜がピョコンと飛び降りてナッツの元へやってきた。
「にょ!」(なかなかやるにゃ!)
「がうっ」(う…瓜っ)
「にょおおぉん♪」(隼人があれだけプリプリしてるのは面白いにゃ。ナッツのイタズラ大成功だにゃ♪)
「がうがうがうー!」(ち、ちがうもん!イタズラじゃなくてお手伝いだったもんー!)

イタズラだなんてヒドイ!…けれど、綱吉の部屋を見渡せば確かに散らかり放題で、そう思われるのも無理はない。
自分のしでかした事の重大さに再び暗い気持ちになった。

「にょにょにょー」(手伝いなんて面倒にゃ!ハヤトで遊ぶ方がずっと面白いにゃ)
そういうとすっと立ち上がり、床に散らばった書類目掛けて爪研ぎよろしく前足を床に擦り合わせる。
ビリビリビリ…
隣で紙が破れる音がする。
「んなっ!?何してんだ瓜っ!テメエ、ここは遊び場じゃねー!」
ナッツは顔面蒼白になった。火に油を注ぐなど、ナッツにはとてもできない。
「にょおうん♪」(こうしたらバカ寺がカンタンに釣れるにゃ♪ナッツもやってみるといいにゃ)

むりむりむり…。目をまんまるにしながら激しく首を左右に振って後退りした。
何故なら、瓜の後方には、目をつり上げた獄寺が大股で近づいていたからだ。

「躾が足りないようだな、バカ猫…」
「にょーう」(瓜がハヤトを躾てやってるにゃ)

獄寺が言葉を解さないのを良いことに言いたい放題な瓜は、タイミングを見計らい、足元にあった蓋の開いたインクを前足で器用に蹴った。
宙に浮いたインクは中身をこぼしながら、獄寺のワイシャツに当たる。
「にょーう!」(角度カンペキ!大成功にゃ!)
「うわっ!獄寺くん大丈夫!?」
「あーあ、スーツにもついてっぞ獄寺ぁ。染みになっちまう前に洗いに行けば?」

旧友が獄寺に語りかけても返事はない。しんと静まり返った室内で、俯く彼の拳がふるえている。
…と、思った瞬間。

怒りのオーラを纏った男は、腕を振り上げてから瓜を指差した。
「こンのバカ瓜があああぁぁーー!!飼い主なめんなよ!今日という今日は許さねえ!待ちやがれ、瓜いいぃぃ!」
「にょーんにょーんっ」(追いかけっこなら負けないにゃー)

瓜と獄寺に踏み潰されそうになったナッツは慌てて横に駆け出した。ドタバタと走り回るから紙やペンがさらに散乱している。
「ちょー!獄寺くん落ち着いて!」
「ははっ♪元気なのな獄寺ー」
「ワンワンっ」
「山本、落ち着いてる場合じゃないよ!このパターンはっ……!」
「まてコラ、クソ猫ーっ!」
「にょーっ!」

…騒ぎを聞き付けた恐怖の家庭教師が現れ、愛銃のマガジンが空になるまで連射されたのちに、懇々と説教を受けるはめになる飼い主3人だった。



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