1 プレゼントをしよう! 「クリスマス?」 「そうにゃ。あと少しで、クリスマスが来るにゃ」 師走に入り、肌にかかる風が冷たくなってきた、12月の始め。 いつものように、食後のお散歩にとナッツが瓜とひなたぼっこをしていると、瓜が得意気にそんなことを言い出した。 好奇心旺盛な瓜は色んな所へ遊びにいってるせいか物知りで、夏祭り、ハロウィンなどナッツの知らないことを教えてくれる。 「クリスマスってどんなの?」 「誰かの誕生会を開いて、プレゼントを交換して美味しいもの食べるらしいにゃ」 「美味しいもの?おにく?」 「そこまでは知らないにゃ。でも、ヒバードなら知ってるかもにゃ」 そこへタイミングよく飛んできたのは、黄色い小鳥のヒバードとはりねずみのロール。彼らは瓜たちに気づくと、嬉しそうに駆け寄ってきた。 「こんにちは。何してるの?」 クピクピとロールが二匹を見渡す。ヒバードは危なっかしいロールのお目付け役なのか、少し高い皆を見下ろせる位置にある枝に降り立った。 「クリスマスにゃ」 「クリスマス?あっ、知ってるよ。プレゼント渡すんだよね。去年は雲雀さんがちくわをくれて、クサカベがちくわをくれて、ディーノさんがちくわをくれたよ」 「ちくわばっかりにゃ」 「ディーノさんのが高級って言ってたけど、やっぱり雲雀さんのが一番美味しかったあ」 その時の事を思い出してロールの口からは涎が垂れ始めている。 だが、意外にもその話に食いついたのはナッツだ。 「それって、ロールもあげたの?」 「雲雀さんには一番大事にしてるとってきたばかりの新鮮なみみずをあげたんだよ。でも気持ちだけもらっておくって言われて、受け取ってもらえなかったの。なんでかな…」 「当たり前にゃ。人間は虫が嫌いって隼人が言ってたにゃ」 「そうなの?どうしよう…何をあげたら喜ぶかな…」 「ナッツもツナにあげたい。瓜もだよね」 話を振られて瓜はもごもごとしていたが、隼人がかわいそうだからあげるにゃ、と言った。 けれど、みんなの欲しいものがわからない。 どうしようかと悩んでいると、上空から高い声が飛んでくる。 「ミンナニ、キク」 「え?」 「ホシイモノ、キク」 「聞いたらばれるにゃ」 瓜が首を傾げれば、ヒバードは皆を見渡し、 「チガウヒトニキク」 「そっか!僕はツナで、ナッツが隼人で、瓜は雲雀さんに聞いたらばれないね」 ロールがぱあああ、と顔を輝かせば、ナッツも同じように笑みを浮かべる。 「ナッツ、隼人に聞くよ!」 「良い案にゃ。でも、雲雀は怖いにゃ…」 「どうして?雲雀さんは優しいよ」 「ヒバリ、ヤサシイ!」 二匹から責められれば瓜も頷くしかなく、最終的には折れてしまった。 そうしてアニマルたちのクリスマスプレゼント作戦が始まったのである。 2012.12.24 |