はろいんぱーてぃー!3


私服でやってきたのは綱吉、獄寺、山本、笹川了平の4人だ。
「あれ?ツナたちは着替えなかったのか」
「急なお誘いだったんで用意できなくて…」
パーティーの話を聞かされたのはほんの2、3時間前。他の3人も右に同じだったので、準備が間に合わなかったのだという。女子中学生たちはハルの家にあったものを借りたらしい。お嬢様学校ではハロウィンをきっちりしていたそうで、そういえばハルもコスプレが得意なのだとディーノは記憶の蔦を辿る。
「ツナ。奥に衣装部屋があるから好きなの選んでこいよ。場所は――…」
「どういうつもりだい?跳ね馬」

綱吉たちを衣装部屋に案内しようとしたディーノは、雲雀の地を這うような声に振り替える。
「…恭弥?」
あまりの光景に、息を飲む。
周囲もディーノと同様、雲雀の姿に目を奪われていた。
「貴方、とりあえず死になよ」
城に入ってすぐ正面にある大階段。その踊り場に佇む雲雀は、体中から殺気を纏いトンファーを構えた。
今にも咬み殺されそうな恐ろしさよりも、雲雀の姿に驚いた綱吉は声を上げた。
「ええぇ!?あれ、ヒバリさん!」
「よく似合ってんじゃねーかヒバリ。そんな趣味があったとは知らなかったぞ」
「黙りなよ赤ん坊」
「恭弥ああぁ!マジで可愛いぜ!俺が思った通り…いやそれ以上だ!」
白い頬は紅潮し、諸手をあげて喜ぶディーノを綱吉は白い目で見た。
(ディーノさんがヒバリさんを騙してあんな格好させたのか…)

…全員が注目する先には、魔女っ子姿の雲雀。

ラメが入った黒の編みタイツは太ももの辺りでガーターベルトで止められており、チラリと見えるのがイヤにセクシーだ。
超ミニスカは白と黒のふんわりパニエを幾重も重ねてボリューム感を出し、豪華なレースがあしらわれている。
透き通る肌が露になった腹部、胸を覆う短めの黒いチューブトップは、上部に雪が降り注いだようなスワロフスキーが煌めいていた。
そして、短いマントに魔法使いの三角帽。
持っているものが杖ではなくトンファーだったから何とか雲雀と認識できる程度で、本人の意思はともかく美少女と見紛うほどに似合っている。

「すげーきれいなのなーヒバリ!」
「ざけんな野球バカ!10代目の方が似合うに決まってるだろ!」
「いや、それもおかしいから獄寺くん!!」
「アイツへんなのー。男なのに女の子のカッコしてるもんねー」
「今日はハロウィンよ。いつもと違う自分に変身しても問題ないわ。ねぇ、リボーン」
「隠れた性癖を多少出したところで、今日だけは許されるからな」
「君たち、黙りなよ」
口々に好き勝手をいう連中への怒りは、ディーノに集約される。
この男を一瞬でも信用した僕がバカだった。こんなものを用意されるなんて、考えもつかなかった。
ギリギリとトンファーを持つ手を握りしめ、雲雀は一気に階段を駆け降りた。
雲雀の愛らしさに目がハートマークになって、思考が妄想世界へトリップしたディーノには、自分だけのかわいい魔女が風のようにふわりと駆けよってくれているように見えていたため、雲雀から溢れ出る殺気が視界からログアウトしていた。両手を広げて雲雀を迎え入れる準備をしている。
このままでは血の海を見ることになると、(他のメンバーは意に介さずだったが)綱吉が青ざめた

――その矢先。
なんとハルがディーノの前に飛び出して、両手を開き雲雀の攻撃を阻止しようとしていた。

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