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再会 [ 77/78 ]

「千里、あれからどうだい?」


ジョセフさんの居る船室に向かう為に歩いていると、典明さんが私に訊く。


「どうって……なにがですか?あ、莉緒さんも司ちゃんも由紀ちゃんも元気ですよ。」


私が言うと、どうやら典明さんが聞いているのはそう言うことじゃなかったみたいだ。


「スタンド使いになって、どう?ってこと」


「スタンド使いになって……?」


そんなことは訊かれたこともないし、特に考えてもいなかったので答えに困る。

敵が増えた、とか色々なことに巻き込まれる、とか色々あるけれど


「今まで見えなかったものが見えるようになるのは、嫌じゃないです。」


「嫌じゃないなら良かったよ。」

そう言う典明さんは気のせいかもしれないけれど、どこかほっとした感じだった。

そうこう話していると目的地の船室に着く。


『こいつ変装していますッ、この男はじめて見ますッ!船になど今まで乗っていませんでしたッ!』


船室の中から聞こえる怒声のような声は、何か一悶着起きていることを現していた。


「なにかあったのかッ!」


典明さんがドアを開けて船室に入る。それに続けて私も船室に入ると、そこでは男二人が言い争っていた。


「典明さん!良かったぜ……どっちかの男に見覚えはありませんかッ、どっちかが本体で」


「本体!?」



本体って言うのは、チリ・ペッパーの!?

いや、チリ・ペッパーは確か仗助達が倒したはずじゃあ……さっき康一君が言ってたことが間違ってた……?



「……なんだ、そんなことで」


典明さんはもっと困った事態になっていると考えていたらしく、拍子抜けしたようだった。

たしかに、典明さんは誰が初めからいて、誰が今までいなかった人かわかっている……ならなにも問題はない。



「良い機会だから教えてあげるよ、億泰くん。敵がスタンド使いで、スタンド以外で攻撃法をもたないなら……」


典明さんの隣に、緑色の、人型をした……多分、これが話に聞いていたハイエロファントグリーンと思われるスタンドが居た。

そして、ハイエロファントグリーンの手から緑色の液体があふれる。


「エメラルド・スプラッシュ!!」


典明さんが言うのと同時にキラキラとした、本当に宝石のエメラルドみたいな物が放出される。
それは、ジョセフさんの背後の電灯にいたチリ・ペッパーに寸分の狂いもなく命中した。


「スタンドが出てきたところを攻撃すればいいのさ。」


SPW財団の服を着た男の片方が、命中したと同時にあらぬ方向へ吹っ飛んでいた。



「す、すっげェ……」


そんな典明さんを、億泰は尊敬の眼差しで見ていた。


……全ては解決したけれど、どうしようもなく心が痛んだ。









船が港に着くと、そこには傷だらけの仗助に康一君、莉緒さんがいた。

やっぱり、相当大変な戦いだったんだ……。


ジョセフさんは先程の事で折れた杖を持ちながら、船を降りる。



「ジョセフさーん!」

「おぉ、莉緒か!」


陸にいる莉緒さんがジョセフさんに向かって大きな声で挨拶すると、それに答えるように手を振っていた。仲良いな、この二人。
が、その手を振ったことによってかジョセフさんがよろめいた。


「あっ」

「危ない!!」


それに私と康一君が気付き、すぐにジョセフさんの元に駆け寄って支えようとしたとき、それよりもずっと先に支える者が居た。


「足元……気をつけねーとよ〜、海に落っこちるぜ」


「す……すまんな、杖があればちゃんと降りられるんじゃが、今さっきへし折られちまったもんでな」


そう言ってジョセフさんは折れた杖を仗助に見せる。



「……しょ……しょうがねえな〜〜……俺の手に……掴まんなよ」

仗助は、ジョセフさんの方は一切見ずに何か少し照れながら手を差し出していた。

「ム!そうだ!ナイスアイデア閃いたぜ、この杖よぉ〜、『クレイジー・ダイヤモンド』で直せばいいじゃあない「しっ」」


変なことを言いだす億泰を小突いて止めた。

「本当に何言ってんのさッ!もう、バカだな億泰君!早く捨てなよそれ。
今回だけはねー、なおさないから……いいんじゃあないか」


康一君は涙ぐみながら言い、承太郎さんと莉緒さんもその様子を見て微笑んでいた。
億泰はまだ何が何だかわかっていないみたいだけれど、まあそれはそれでまたいいんじゃあないかなと思った。




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