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再会 [ 76/78 ]

ボートを走らせ、少し経つ。

何かが飛んでくる気配はない。仮に飛んできてしまった場合、私が影をとらえないといけないと承太郎さんに強く言われている。

午前11時43分36秒

「あっ!船だッ!
おれの肉眼でもトラフィック号が見えたぜェーッも、もうすぐだッ」


「飛行機も飛んできていない……陸の方は大丈夫ってことでしょうか……?」


「……多分な。」


大丈夫じゃないといけないのだけれど……。三人もいれば大丈夫だと信じていたい。


「まあ、莉緒さんもああいっていたし大丈夫だろ。」

「……そう思いたいんだけど。」


億泰もこういっているわけだし、自分のできることをやるべきなんだろう。
心配で気を取られないで。


「随分莉緒を信頼しているな、億泰。」


「そりゃぁ〜あんな笑顔で『絶対負けない』なんて言われたら……」


……信頼してるというか、何と言うか。いや、信頼に入るとは思うけど……。

妙に照れながら言う億泰に承太郎さんも違和感を感じたようだ。


「億泰、まさかおま「あ、あーッ!!」――――ッどうした!?」


「あ、えっと……もう船に着くから準備した方が……」


適当な理由も見つからず、とりあえずもう船が目前になっていたので丁度いいとそれを伝えることにした。

さすがに、今億泰にこのことがばれるのはどうかと思う。
……いや、もっと前もって言えていればよかったんだけど、なんやかんやで言えてなかったのがいけないんだけれど。


そんな罪悪感を感じながらも、私たちはSPW財団の船に乗り込むことに成功した。

いまだに飛行機は見えない。このまま、無事なら良いけれど……。







ジョセフさんの居る船室に向かおうとした時、私は承太郎さんに止められた。


「船室で警護するのは億泰だけだ。千里は外で模型飛行機が飛んでこないか見張る、いいな?」


「あ、はい。」


承太郎さんに着いていき、甲板に出る。

……潮風が心地よい。このまま、何事もなく終わればいいのに。


「千里、一応確認するが……さっきのはそう言うことか?」


「さっき……?……あ゛っ」


さっき、といえばさっき、

承太郎さんが核心付く前に止めたあれ。


「えっと……はい、そう言うことです。下手に戦意を下げられても困るというか……」


私が説明すると、承太郎さんはやれやれだぜ、とそれ以上の説明は良いと言ったような感じだった。


「……だとしたら、少し不味いか……。」


「少し、不味い?」


承太郎さんはバツが悪そうに眼をそらす。

一体、何があったのか。



「実は、この船に……」



『本体は倒したよッ!『チリ・ペッパー』の本体は倒したよ承太郎さんッ!』


承太郎さんが何かを言おうとした時、丁度康一君のエコーズがチリ・ペッパーを倒したということを伝えてきた。


「よくやったな……安心したぜ康一くん」

「よかった……!」


無事、チリ・ペッパーは倒された。康一君が言うには、全員無事らしい。本当に、良かった。


「どうやら全部終わったみたいだね、承太郎」


ほっとしているのもつかの間、よく知った声が背後でした。

その声の主が、私の想像通りの人物なら……さっき承太郎さんが不味いと言っていた意味もわかる。



「や、千里久しぶり……と言っても1ケ月しか経ってないか。」


「の、典明さん!?」


ああ、やっぱり。

典明さんを見て、承太郎さんは溜息をついていた。その気持ちは、わからないでもない。



「ところで承太郎、ここに莉緒が居ないのは君の差し金かい?」


「……こんな所で再会されても困るだけだからな。」


「やだな、僕が公私混同するような男に見えるかい?」


「さあな。」


承太郎さんにあって早々に莉緒さんについて聞くところ、公私混同しかねないように思うけれど……変に口出しするのはやめておこう。

全てもう終わったことだし……。


「そういえば、もう終わったんですよね。私、ジョセフさんに挨拶をしに言っていいですか?」


「いってくると良い。場所は覚えているな?」


そう言われると、少しわからない。
さっき言った場所に行けばいいだけなんだけれど、もし違う部屋に着いてしまったらついてしまったでどうかと。


「僕も行こう、千里。船室の彼に少し外を見てくると言って出てきてしまったからね。」


「船室の彼……」



たぶん、いや絶対億泰だ。



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