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集合 [ 70/78 ]

杜王グランドホテル、プライベートビーチ。


「承太郎さん!ヒトデ見つけたよ!!」


「そうか、そこのバケツに入れといてくれ。」

「はぁーい!」


ヒトデを持ちバケツの方へ走っていく由紀。承太郎はまた新聞を読みだす。


「海には入っちゃだめだからね!由紀!!」

「ママ、綺麗な貝殻あげる」

「あ、桜貝だねー。ありがとう!、司も海に入っちゃだめだからね……それにしても、また海には会わない服装だねぇ……承太郎。」


「まだ5月だろう?」


5月とかの問題じゃなくて、そう突っ込もうとしたが莉緒はやめておいた。
突っ込んだところで、エジプトまで学ランを一切脱がなかった彼が服装を変えるわけがないとわかりきっていたからである。

そんなゆったりとした時を過ごしていると、二人の座るベンチの後ろに座る男。


「『空条承太郎』さんと『花京院莉緒』さんですね……私はSPW財団の者です。」


そう言うとその男は身分証明書をちらっと見せる。
怪しいものではないようだ。


「あなたがたに直接伝言を伝えにまいりました。電線のある所での会話……及び電話や電報では危険だという事ですので……内容を申し上げます、

明日の正午『杜王町に到着スル予定』『ジョセフ・ジョースターより』以上です。」



「「………」」


予想だにしていない伝言。一波乱起こる予感。


「戦線復帰かな……承太郎」

「お前は来るな。」


「えっっ」

なんでと莉緒が承太郎に訊く。


「あの二人はどうするつもりだ?」

「……あ、一人心当たりがあるよ。絶対安全な場所」






なにもないさびれた野原、正午前。

私達はそんなところに集合していた。


「なんの話だよ仗助〜?こんな薄ら寂しい所に呼び出してよォ〜『カフェドゥ・マゴ』とか『トニオさんとこ』じゃあ駄目なのかよォ〜、虫に刺されちまったじゃんかよ〜。虫って俺んとこだけ寄ってくんだよなあ〜」


「……虫よけスプレー、使う?」


「お、物持ちいなーお前」


バッグから虫よけスプレーを出して億泰に渡す。
それにしても、本当にこんな所で集まれって何があったんだろう。集まれと言われただけで詳しいことは聞いていない。


「ここに呼び出したのはよー、俺じゃあねェーぜ。承太郎さんだ……」


承太郎さんが?と、言うことは莉緒さんもかかわっているのか、だとしても一言もそんなことは聞いていなかった。


「承太郎さんが…?何の用かな?」



「『チリ・ペッパー』のことだろーぜ…」


『チリ・ペッパー』、忘れられはしない……あの……


「え!?『チリ・ペッパー』ってあのスタンドの『レッド・ホット・チリ・ペッパー』のこと!?」


康一君が言うのと同時に、バキィッと音がし音のした方を見ると億泰がすぐ近くにあった木の枝を引き千切っていた。
そうなるのも当たり前だ、だって奴は億泰のお兄さんの仇なんだから。


「……あらわれたのか?」


いつになく真剣な表情。正直気圧されそうだ。



「ああ!現われた……おとといの夜に俺んところになー」


おととい現れた、そんなことはここにいる誰も一言も聞いていないことだ。
現れて仗助になにもなく、向こうも何ともないということは良くある挨拶程度ということで現れたのか……何にしろ、こんな事を今聞いたら億泰は……


「なんで野郎のことを俺に黙ってたあーッ!?」


やっぱり、怒りに我を忘れる……じゃあないけれど完全に冷静さは失っている。

こんな風になるからみんなこの話題を避けるのだけれど……そうも言ってられない。


康一君も私と同じように心配そうに億泰を見ている。


「電気の通っている街中じゃあ、ヤツの話をするのは危険だ……
俺が仗助に黙ってろと言ったのだ……」


「はい、仲間割れはここまでっ!」



「承太郎さんッ!莉緒さんッ!」

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