いざ登校 [ 5/78 ]
「どうしたんだ?おまえ」
後ろから声、振り向くとそこにはリーゼントという特徴的な髪形をした少年がいた。
「えっと、かばんが見事にちぎれまして…」
持つところと分離しているかばんを見せる。
「なんだ、その程度すぐ直してやるよ」
「え?直す?」
とはいっても金具が取れたとかいうわけでなく、縫い目から奇麗にちぎれてるわけで。
そんなの直るわけ…
「直ったぜ」
「あ、ありがとうござ…って早っ!?」
持ってたかばんがいつの間にか直っていた。
どうして直ったのかは分からない、気付いたらってやつだった本当に。
「これで大丈夫だな、じゃあオレは行くぜ」
「え、あ、はい、ありがとうございました!!」
頭を下げる。
そのままその少年は去っていってしまった。
「…まだまだこの世には不思議がある…ってことか。」
莉緒さんの話然り。
「…ってそんなことしてる暇じゃなかった!!」
遅刻するんだった遅刻!
かばんが直ったところでまたダッシュする。
間に合え、じゃないとまずい。
なんとか遅刻しないで済んだ。
ぎりぎりもいいところでつき、入学式も終えた。
もう、クタクタ。
それでも帰らないと、そう思って席を立った時、すぐ隣の席が今日かばんを直してくれた人と言うことに気付いた。
「「あ、」」
たまたま目が合い二人同時に言う。
「たしか、今朝の」
「あの時はありがとう、まさか同じクラスだなんて思ってなかった。」
※
「へー、わざわざ東京から。」
と、いうわけでなんやかんやで一緒に下校してます。
彼の名前は東方仗助、一瞬その見た目から不良かな、と思うけどかなりいい人だった。
何よりこの雰囲気、誰かに似ている気がした。
「…それにしても、仗助は誰かに似ている気がする。」
「東京の知り合いにか?」
多分そうなんだろうけど、誰か思い出せない。雰囲気がどことなくってやつ。
なんだそれ、と他愛もない話をしているうちに分かれ道、
「じゃあ、また明日」
別の方向なのでここで別れ。
「あ、千里はそっちか。じゃあな、気をつけてかえれよ〜。」
一人になる。
少し、楽しかった。
きっとこれは、これから起こることをなんとなくわかってたのかもしれない。
それに対してわくわくしていたのかもしれない。
これから私は、奇妙な出来事に巻き込まれていく。
莉緒さんのように
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