恋する美少女‐拉致監禁‐ [ 59/78 ]
タクシーでどれくらい時間がかかったんだろう。それでも最速で来たつもりだ。
「……随分広いね」
地図で何となく把握をしていたとはいえ、多少のギャップがある。
と、いってもこの中から探し出さないといけない。
「電話ボックスだぜッ!康一は公衆電話からかけてきたんだぜ……まず電話ボックスのそばから探していくぜ――ッ」
仗助の指差す方向には電話ボックスがある。まずはそのすぐ近くの家から探すことになった。……あれが康一君の居る場所だといいけど……。
とにかく三人手分けすれば早めには見つかると思う。
「康一君!居る!」
ドアは開いていないし、ガスメーターとかも動いていないところから、ここではないだろう。
こんな調子で二、三件回っていると、少し離れたところからガラスの割れる音や、何かが壊れた大きな音がした。
「おい仗助!」
「聞こえたぜッ!億泰……ありゃあ何かがブッ壊れる音だぜ……」
「その上ガラスが割れる音もした。……本格的に嫌な予感がする」
どこから音がしたのか、三人が向いた方向は一致した。
「なんかの冗談かあ〜、あそこの家が何かに巻き付かれて真っ黒くなってるぞ!」
塗装された黒とは思えない色。
これはやっぱり
「由花子さんの……髪の毛……?」
「だろうな……それにしてもなんっつー精神力だ、あの由花子は」
正直身震いしてしまう。あそこまですごいとなると。
そこまで愛せることに関しては尊敬できるけど。
「何考えてるか知らねーが置いてくぞ!千里」
気づけばもう仗助と億泰は走ってその別荘の方にむかっている。
「―――ッ」
それに遅れまいと私も後を追った。
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