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恋する美少女‐拉致監禁‐ [ 58/78 ]

結局、推理は行き詰っていた。

気を失っている線はもうないとして、50m以内に民家、人通りのない場所だとする。

そこまでは誰が考えたってわかることなのだけれど、ここからが困ったことにわからない。杜王町に人通りの少ない場所って言うのは以外とあるし、距離が離れた場所にちょっとずつあったりする。

つまり、明確な場所が全く分からないという事。三人で手分けするにしてもかなり時間がかかる……その間康一君が安全だという保証はどこにもない。



そんな時だった。



『〜〜〜〜♪』


突然の電話の音にその場にいた全員が一瞬驚く。

一体何の用事なのか、もしかしたら、そんな風に思っていると仗助が受話器を取る。


「はい……東方です。」


そこから少々の沈黙、向こうの言葉を聞いているのかと思ったけれどそうでもなかったようだ。


「もしもし?康一かおまえ!」



「!!」


仗助が電話の主が康一君だと認識したみたいで、三人で顔を見合わせる。

無事だったのか、と。


「康一だなッ!俺だ!仗助だ!康一ッ!どこにいるッ!波の音が聞こえるなッ!」


仗助の口から出た波の音、というワードから地図を見る。


50m以内に民家のない、人通りも少ない波の音が聞こえる場所……すべての条件が当てはまるのはひとつ。


「切られちまったか……千里!億泰!」


「わかってる、杜王町、海岸の別荘地域ね。」


わかったからには急いでそこに向かわないといけない。

電話をすること、助けを呼ぶことが何とかできたことが仮にも由花子さんにばれてしまえばとんでもないことになりかねないから……。





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