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恋する美少女‐執着‐ [ 55/78 ]

「どおーしょお〜困ったよ僕……ああ〜どうすればいいんだよ――――っ」


この季節のプールサイドには誰一人としていなく、康一君の声がよく響いていた。

由花子さんはもちろんの事ほかの人が来ないかと億泰が見張っていたけれど、本当に誰も来る気配すらないので仗助がこっちに呼ぶ。


どうやら、由花子さんは今日あの出来事の前に康一君と接触していたみたいで、豪華な手作りお弁当にサイズが完全にぴったりの手編みのセーターを渡してきたらしい。康一君は愛が重いと言ったようで困っている。

いい子だとは、思うんだけれど。


「僕はさあー、正直言って最初の最初はちょっぴり嬉しかったんだ。女の子に告白されたことなんてなかったもんな〜」


「わかる!ヒジョーにわかるよ、その気持ちひしひしとなあ〜」



そういえば、あの後莉緒さんにメールアドレスを教えていいのかと聞いたところ、『全然構わないよー!千里ちゃんの友達なら』と来て教えたので、億泰は結構上機嫌だ。


とにかく、話は由花子さんを怒らせないように、恨みを持たれないようにするかという話になった。


「恨みを買わない、なんて方法あるの?仗助」


「ああ、いま思いついたんだがよ、どんなに思い込みの激しい女だからってよ……向こうが勝手にお前の事を『幻滅!最低!つまんない男』って思えばメデタシメデタシだろ?」


「そ……そう思ってくれればなにも言う事ないよ。」

……なんか、逆効果の予感がするけれど康一君が乗り気なようなのでなにも言わないでおく。


「お前がワザと彼女の前でそーいうことやりゃあいいんじゃあねーかよ!」


「なるほどッ!そりゃそーだ!さえてんな仗助〜」


「おおーどもども」


一番楽しげなのは、この二人か……。


「な……なにをすれば由花子さん……僕の事『最低!』って思うかな?」


「まあ、女っつーのはたいてーはよ『マザコン』だとか『不潔な男』だとかが嫌いだよな……」


まあ、そういうのが嫌いな女の人は多いけれど……由花子さんはかなり特殊例だからどうなんだろう。


「マ……マザコンは駄目だよッ!僕の母さんが恨まれて危険に陥る可能性があるッ!」


確かに、さっきの女の子の例がある分マザコンという線はよろしくない。


「じゃあー『不潔な男』だなーッ徹底的にやりゃあ―――絶対におめーのこと幻滅するぜーッ
今日からおめー風呂に入るな!それから歯もみがかねーでパンツも取り換えねーんだ、で頭にシラミとかノミとかクモを飼うんだよ」



そこまでやる必要はあるんだろうか。もう。



「じょっ……冗談はやめてよォーッ!……そうだ!千里さんはどう思う?」


「あー、初めから千里に訊けばよかったぜ」


「え、私?」


全員の目が私に向く。女だからといっても困る。
あんまりそう言う事も考えたことないし……。




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