恋する美少女‐告白‐ [ 50/78 ]
「えッ?」
「なんだってェ―――っ!!」
「静かにして」
言われた本人よりも驚いている億泰。声が大きいと注意すると同時に仗助が手で億泰の口を塞ぐ。
……大丈夫、ばれていないみたいだ。
「おいおい!たしかに聞いた今の言葉は〜〜マジかよ〜たまげたぜ、康一にィー」
「うん、少し驚いた。」
告白される、ってことは別に驚くことじゃなくてあんな美人に告白されているという事態がなんかすごいなと思った。
「あ……あの……その、えとその……えとあの、な……なんですって?」
まあ、この場で一番驚いているのは本人のようだけれど。
言葉がかなりどもっている。
「あたし、一日中康一くんの事ばかり考えているわ
康一くんに素敵な彼女が居たらどーしようだとか、あたしなんか相手にしてくれるハズない……と何度も何度も思ったり……この気持ちを打ち明けるのがこわくて……でも言わないでいると胸がはりさけそうだし……嫌われてもいいから勇気を出して告白しようって思ったんです。
……彼女居るにきまってますよね」
「え!い……いませんけど」
なんか、由花子さんはすごく康一君を思ってるんだな……そこまで人を愛せるのってすごい。
そんな風に私が感心していると
「何で康一が〜、ウソだろォーウソだろォー俺だってあんなこと言われたこたねーのに〜〜」
億泰が、泣いてそんなことを言っていた。
いや、泣くほどの事だったの?
「おい泣くこたねーだろー。なにもよォー」
「そうだよ。康一君に春が来てるんだから億泰にだっていい人現れるよ。」
「本当か〜……?千里」
「多分。」
多分、悪魔でも多分。
そんなことより、あっちのほう。返事はどうするつもりなんだろう。
「あの、ひょっとして僕をからかっているんですか?」
どうやら、康一君は冷静になって考えたみたいで明らかにテンションの下がった声で言う。
「あたしまじめですッ!!康一君、ここ最近急に顔が引き締まりました。勇気と信念を持った男の顔って感じです。でも、笑うと……その……カワイイし」
べた惚れしてるな、でも顔が引き締まったというのは確かにそうかもしれない。
最近はあんな騒動があったりして、康一君は一般人なのに巻き込まれたんだし。
「う〜ん!そいつは言えるぜたしかによお」
仗助も私と同意見のようだ。
「俺だって引き締まってるよな〜〜仗助〜千里〜」
少なくとも、今は引き締まってないと思うよ。という突っ込みはいいとして、盛り上がってきたみたいだ。
「あたし男の人の魅力って将来性だと思うんです。完成された人って一緒にいてつまらないと思うんです。康一くんはそれが輝いている!いつも見てたからあたしにはよくわかるんです。 そしてそんな……康一くんのこと全部が好きなんです。」
「そ……そんなにも……持ち上げられると……困るな」
ああ、もうこのままくっついてしまいそうな雰囲気だ。
彼女できたと聞いた時のお祝いでも用意しようかな。
「あたしのようなカワイクない女の子嫌いでしょうね?」
「え?カワイクないだなんて……そんなこと……ないけど」
なかなか決着がつかないな。
「チクショーカワイイよお〜〜くっくやしい〜さっさとOKしちまえよ〜
良い思いしやがってあの野郎〜〜〜っ」
「「……」」
すごく悔しがっている億泰を、私と仗助はもうスルーすることにした。
「あたしのこと、嫌いですか?」
「おお〜〜〜っ」
ついに決着がつくのか、由花子さんに何と答えるのかが気になる。
「え?あ……あの嫌いって?いきなり……そんなことは……ないですけど」
「好きですか?」
康一君の煮え切らない態度に嫌気がさしたのかどうかは知らないけれど、積極的に答えを求めてきた。
「えっ!ちょっ、ちょっと待って……そうじゃなくて……まだそのなんて言うか突然、好きだとか嫌いだとかは……」
「やっぱり嫌いなんですね」
どうにも、この答えはまた明日とはなりそうにない。
由花子さんは早く答えがもらいたいみたいだ。焦りが見える。
「え?違いますよ、ですから、イキなりそんなこと聞かれても……」
まあ、確かに今日初めて出会ったみたいだし……由花子さんは康一君のことをずっと見ていたとしても康一君は由花子さんの事を知らないんだ、康一君は真面目だからいきなりOKなんてことできないんだろう。
「なんか雲行きが怪しくねーか?」
「……確かにそんな気が」
「どっちなの!?あたしのこと!愛しているの!?愛していないの!?さっさと答えてよっ!こんなに言ってるのに!!」
嫌な予感が的中し、由花子さんがキレてテーブルを叩きコーヒーがこぼれた。
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