恋する美少女‐告白‐ [ 48/78 ]
「容赦ないねー。最近の若者は」
「莉緒さん、悪いのは完全に彼ですよ。」
「違う違う、両方含めて最近の若者は怖いって言ってるの。」
ここは病室。
この部屋にいる患者の名前は間田敏和、私があの日バイトして露伴先生に会っていた日に仗助と康一君と衝突したらしい。
今日は、間田……一応、上級生だからさんを付けるべきなんだろう。間田さんにこの前の電気を使うスタンドの正体を聞くという事で、承太郎さんと莉緒さんが私も来るようにと言ってくれたのでここに来た。
でもついてみれば、莉緒さんと由紀ちゃんと司ちゃんが居て、承太郎さんが居なかった。あと仗助も来ると聞いていたけれど……
「由紀と司は、そんな怖い人と結婚しちゃだめだからねー。大人で優しい人見つけるのよ」
「はぁーい」
「だいじょーぶだよ、由紀はパパと結婚するから」
そう由紀ちゃんがいうと莉緒さんはどうしようと思いつめた顔で私を見た。
子供の言ったことを本気にしないでほしい、この人は。
「……え、えっと誰?」
そんな風に莉緒さんがどうしようとか言っていたら、間田さんが起きていた。
「こ、こんにちは。東海林 千里です。」
「は、はあ」
「いやいや千里ちゃん、なに自己紹介してるの?もう名前知られてると思うよ?」
と、莉緒さんに突っ込まれても困る。
聞けといわれても、私自身そんなに交渉術とか会話術とかそういうスキルはないし。
下手なことを言って何かあっても困るし。
「東海林……千里?っ、先に言っておくがおれをスタンド使いにしたやつの事は知らないッ!本当だ」
なにも聞いていないのに、いきなりそんなことを言われてしまった。
それも表情はかなり迫真的なところから、たぶん嘘は言っていないと思う。
「まあ、そんなことだろーとは思っていた。」
「承太郎さん!仗助!」
その間田さんの言葉の後に二人は病室に入ってきた。
二人の姿を見るなり間田さんはおびえていた。
別に、ここで何か暴力行為に及ぶようなことはしないと思うけれど……
「ところで、そんなことだろーって言うのは……」
「簡単なことだ、名前も顔も知っているならこいつは現在生きているはずない。」
「まあ、口封じっされちゃうってこと」
口封じっていう言葉を聞き、形兆さんの事を思い出す。
そうか、もし知っていれば……あんな風にすぐに始末しに……
「おい、本当に知らねーんだろうな?」
「本当に知らないッ!あいつとは電話でしかやり取りをしたことないんだ」
仗助が駄目押しにもう一度聞くけれど、知らないの一点張り。
ここまで来て、始末されてもいないとなれば本当に一切知らないんだろう。
「ただ……スタンド使い同士ってのは……どういう理由か……正体を知らなくても……知らず知らずのうちに引きあうんだ……
結婚する相手の事を『運命の赤い糸で結ばれている』とかいうだろ?そんな風にいつか……どこかで出会うんだよ」
いつかボロが出る。 だからその前に承太郎さんと莉緒さんにはいなくなってほしい
らしい。
「……そうか。帰るぞ。」
承太郎さんはもうこれ以上間田さんといても何も進展はないと思ったのか部屋を出た、引き上げることにしたらしい。
「そだね。2人とも、今日は何食べよっかー」
「その前にパパと電話したいー」
「いたりあがいいー!」
それに続いて、三人が相変わらずな会話をしながら出ていく。
「そう言えば仗助、その目のあたりの傷大丈夫?」
「ん?まあ、これくらいなんてことないぜ」
「……ごめん、この前は私」
「気にすることねーよ、早く行こうぜ。」
もう一度ごめんと小さくつぶやくと、私も仗助に続いて病室を出て行こうとした。
「間田さん、失礼しました。あと、さようなら。」
「さ、さようなら」
一応、人の病室に入った後だから失礼しましたくらいは言ったほうがいいと思って立ち止まって言うと私も部屋を出た。
「はじめて女の子にさよならっていわれた……!」
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