晴れない心 [ 47/78 ]
「すいませんでした。そうですよね、よくなかったと思います。」
だから、とりあえず謝ることにした。
「………」
謝って、まだ何か言われるかなと露伴先生を見るとなぜか唖然としていた。
「君は、女性の中でもおかしい奴の分類に入るんじゃあないか?」
「おかしいやつですか?」
変わってるね、という事は良く言われる。だからまたかという感じだけれど、何故このタイミングで言われたんだろう。
「大抵思いつめているやつにこんなこと言えば逆上される。普通なら。」
大抵、という事は露伴先生こういう事よくするのか。と思いながらもそれは私が少数派という事かと思った。
「逆上も何も、悪いのは私ですし。こんな風になってるならバイトを入れないとかありましたし。」
そうだ、こんな風になったのならバイト先の人にもなにか起きる可能性だってある。
当分バイトは控えるべきなんだろうか。
「素直に非を認めるか……なかなか好感が持てる。」
「?」
好感が持てるっていことは、褒められたのか?
まあ、いいや。
「とにかく、君がそんな顔をしているとこっちも暗くなるんだ。やめてくれ。」
「……えっと、それって」
目をそらして、露伴先生は言う。わかりにくいけれど
案外、心配してくれた?
「ありがとうございます。」
勘違いかもしれないけれど、私は感謝した。
「何を勘違いしてるか知らないが、僕は別に君を心配しているわけじゃあないぞ。ただそんな顔をされるのが嫌なだけで……」
「そうだとしても、ありがとうございます。なんか、頑張れるような気がしてきました。」
言葉の通り、少し心のどこかが晴れるような気がした。
自分が狙われたのは、特殊になってしまったから。なら、その分私を狙ってきた悪い人を私が普通の人に危害を加える前に倒せばいい。怖いだなんて言ってられないんだ。
人を守れるなら、それはとても良いことのような気がする。
「………」
「露伴先生?」
「帰らないのか?そんなところで立ち止まっていて。」
「え、ああ、帰りますけど」
「だったら早く立ち止まっていないで行こう。」
「……えっと、露伴先生の家はこっちでしたっけ?」
「うるさいな、どうでもいいだろうそんなこと。」
結局そう言って、露伴先生は家まで送ってくれた。
その後逆方向に向かっていったけれど。
やっぱり、露伴先生は、いい人だと思う。
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