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晴れない心 [ 46/78 ]

虹村形兆の遺体はキチンと埋葬された。

弓と矢、についてはそれを所持している男から連絡という名の挑発があったと莉緒さんから聞いた。

この町は、どんどん危ない町と化しているみたい。


億泰については、5〜6年は生活していける蓄えがあるらしいからあの家に住むらしい。

そして、同じ学校に通っている。クラスは違うけれど。


いろんな事があって私と言えば、相変わらずバイトをしつつも何とも言えない気持を抱えながら過ごしていた。



人が、目の前で死んだ。 ちょっと前まで話していたような人が死んだ。


莉緒さんが、私に何度も大丈夫かと聞いていた。大丈夫とは答えたけれど、大丈夫のわけがない。


人の死なんてものにかかわったことは幸い今までなかったって言うのに、それも殺されたなんて、まだ脳が理解していないどうしようもない状態。


「千里ちゃん、注文取ってきてくれる?これで最後でいいから。」


脳で理解していなくても、相手は待たない。あの場に居た人はきっともう全員狙われている。私も、例外じゃあない。巻き込まれている。
「千里ちゃん?」


「あ、はいすみません。」


そんなことばかり考えていたら、今がバイトだという事を忘れていた。

とにかく、勤務時間も終わりのようで、先輩に返答して私は呼び出しをしたテーブルに向かう。少し急ぎ足で。
この今も近くにスタンド使いがいたらと考えるととても怖い。という思いが消えないまま。


「ご注文の方お決まりでしょうか」


「決まっていなかったら呼んでいない。」



そんなことを言われたって仕方ない。マニュアル通りなんだから。

そんなことを思い苦笑してお客さんを見ると、正直言って驚いた。



「え、露伴先生?」


驚いたとはいえ、お客様にこのセリフはどうかとも思うけど、自然と出てしまったんだから仕方ない。


「っ・・・・・・君こそなんでいるんだ、千里」


「えと、バイトです。」


私が言うと、露伴先生も私だと気付いたみたいで少し驚いた感じだった。

「あの、ご注文のほうは」


とはいっても、ここで話している場合でもない。

とにかく、注文を取りまた厨房に行くと私の今日の仕事は終わった。







「……はぁ。」


溜息をつき帰路につく。

どうしようかと考えてもまとまらない頭は結局考えることをやめなかった。


「千里。」


「……え?ど、どうしたんですか露伴先生!?」


そんな帰路で出会ったのはさっきまで喫茶店にいたはずの露伴先生。

正直これは何事かと思った。注文していたものはどうしたんだろう。それに、何でここにいるんだろう。


気になることが急激に増えてなにか頭が回らない。



「……その顔で接客はどうかと思う、と言いに来た。」






まさにこのマークが頭に浮かんだ。


いや、それだけ?という思いが。



「えっと……クレーム、ですか?」


とりあえず、そういうことなんだろうか。確かに考え事ばかりしていて接客する人間としてはどうかしているとは思う。


「クレ……ああ、そうだクレームだ。そんな顔で接客なんかしないでもらいたい。」


物事をはっきり言うなと思いつつも、たしかにクレームをつけられても仕方ないと思った。



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