親子 [ 41/78 ]
「っ!?なにこれ……」
その場で私が見たのは、何かよくわからないもの。
それに康一君は足をつかまれていた。
「とにかく……ペンタクルス!」
ペンタクルスでその腕を放させるためにも殴る。
すると、その腕は体液のようなものを撒き散らしながら切断され、落ちた。
「………!」
声にならない。切断するつもりなんか毛頭もなかったというのに、それは簡単に千切れて落ちた。
「うええええェ〜っ……」
「康一君、大丈夫?」
「な、なんとか。つかまれただけだから」
そのよくわからないものはブギューといった感じの鳴き声?叫び?をあげてこちらから遠ざかる。
とりあえず、こちらにもう危害は加えないといいけど……
「それにしても康一君、なんでこんな所にいるの?まっすぐ玄関に向かったのならここには来なくていいはずだけど」
「それが……この部屋にあの弓矢があるのが見えてつい……」
康一君が見る方向には、確かにあの弓と矢があった。
……被害者が増えることを考えると、この弓と矢を回収したい気持ちはわかる。
「ついに見やがったなァ――、見てはならねえものをよお〜……」
「ッ!?」
ドアのほうを見ると、あの男が居た。
と、なると仗助はいったいどうなったの!?
「康一君、私の後ろに。」
弓と矢のほうに向かい、持つ。これは取られまいということなのか……
「そこにいんのがよぉ〜〜俺達のおやじだぜ」
「父…親…?」
人の形と言われればそうだけれど、どういうことなのか……理解できない。
スタンドは今のところ近くには見えないけれど、警戒しておくことにこしたことはない。
「この『弓と矢』は……おやじのために必要なものだ。おやじのために『スタンド使い』を見つけてやりたい。
この『弓と矢』は…断じてほかのやつに渡したり破壊させるわけにはいかん!」
「……だから、それで私や康一君を……」
何か事情があって、彼の父親はこうなってしまったんだろう。
だとすると、探している能力は……
「おやじさんを『治す』スタンド使いを探してたっつーわけか。」
「「仗助(君)!」」
ドアのほうを見ると仗助が居た。
よかった、やられていたわけじゃあなかった。
「急にどこかに行ったかと思えば……こういうことか」
「『治す』?フフフフフフフフフフおめーがなおすってか?
それも違うね……逆だ…おやじを殺してくれるスタンド使いを俺は探しているんだよ〜〜っおやじは絶対に死なねえんだ…頭を潰そーとも体を粉みじんにしよーとも、けずりとろーも絶対な。このまま永遠に生きるだろう。
なぜなら10年前…おやじはあやつり人形にされるため『DIO』っつう男の細胞を…頭に埋め込まれてこ―なっちまったんだからなあ―っ」
DIO、と聞いてハッとした。
その男の名前は、莉緒さんから聞いた話でよく知っている吸血鬼の名前。
こんな所でまた聞くとは思っていなかったけれど。
「おやじを『普通』に死なせてやりたいんだ…そのためならどんなことでもするって子供のとき誓った…そのためにこの『弓と矢』は絶対に必要なんだ…」
その男は、泣いていた。
[*prev] [next#]