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兄弟 [ 32/78 ]

そうして時は過ぎて放課後。


「仗助、一緒に帰らない?」



「今日はバイトじゃあないのか?」


「まあね、そう毎日バイトしているわけじゃないよ」


そう話しているうちに教室から人が減っていく。

いい加減帰ろうか、ということで私たちも学校を出た。


「あれ?仗助君に千里さん今帰り?」


「あ、康一君。まだ学校に残ってたんだ」


「ん?康一も今帰りか?」


学校を出た時丁度康一君に出会った。

一年生なのにこの時間まで残ってるのも珍しい。


「うん、そうなんだけど…一緒に帰ってもいいかな?」


「私はいいよ」


「俺も構わないぜ」


とくに断る理由というのもないため、肯定すると、三人で帰ることになった。


「ところで千里さん…噂で聞いたんだけど、この前強盗を素手で倒してクラスの女子とか先輩たちを助けたってホント?」


いつのまにあの話が噂に。


確かに、それは事実だし、お手柄…らしいし、目撃者がクラスメートとなれば噂にもなるのか。

「うん、本当だよ。」


「素手とはまた千里のイメージに合わないな」


「こう見えても合気道学んでいたから。まあ、護身術程度だけど」


「…人は見かけによらないんだな」


仗助は私を見ると、どう見ても文系、といった。

それは運動とかができそうにないってことなんだろうか?


「本当なんだ…じゃあ、犯人が千里さんの迫力に突然動けなくなったっていうのも」


「ちょっとまって、迫力で動けない…?」


「ぼくの聞いた話では、ナイフを持った犯人が千里さんを見たまま動けなくなっていたって…」



「お前、実は実家が極道とかないよな…?」


「ないよ。」


動けなくなっていたのはスタンドの御蔭なんだと仗助に耳打ちすると、仗助は納得してくれた。


康一君はそれはさすがに嘘だったのかと言っている。


なんか、謝りたくなった。

それと、まさかここまで噂が飛躍しているとは思わなかった。



怖いな、と少しだけ思った。

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