-->愛ってなんか素晴らしい | ナノ
スタンドというもの [ 29/78 ]

「え?…い、いったい何を」




すぐ隣にいた子は偶然にも同じクラスの子だった。


犯人が警察のほうに注意が向いているうちに耳打ちした。



「めまいか何かしたふりをしてくれない…?」


「めま…い?」


「うん、その隙を狙うから。」


そういうと、その子は信じられないといったような顔をした。


「そのすきって…あなたにそんなことできるの!?」


小声でも少し怒ってるようだ。


「大丈夫、あなたは危険にさらさない。

あの手の人は撃ってしまったら最後失意のどん底に落ちるタイプ。最悪私が撃たれるだけ。ですぐに警察も入ってくるはず。

それに、私合気道の心得があるの。大丈夫、誰も危険にはさらさない。何とかなる…と思う」



犯人の注意がまた私たちのほうに向いた。


…協力してくれるかな



「…わかったわよ

――っう…」



犯人がこちらを見たとき、ナイスタイミングで倒れた。




「お、お前いきなりなんだッ…ど、どうした!?」



犯人が近寄る…いまだ。



「ふっ!!」


即座に犯人の手てを捌き返し、手首と肘を極めて投げた。

その間に銃は弾く。



「ぐあぁっ…」



物のないほうに飛ばしたからたぶん大丈夫だとは思う。



「…終わった。

ありがとう」


協力してくれた子に駆け寄り礼を言う。


でも、何が起きたか分からないようでまだ全員ぽかーんとしていた。



「あっ!!後ろッ」



「え?」



それだけじゃなかった。



「…ぐ、この女…」



少し加減しすぎたみたい。


でも、素手なら負けるつもりはない。



「……おれはこんなところで捕まるわけにはいかねーんだよ!!」


「千里さん!ナイフを持ってるわッ!」



確かによく見たらナイフを持っている。


まずい、対応が遅れた。



「うわあああああ」


そのまま突進してくる、距離が…



『まったく、世話の焼ける主人だぜ』



この声を聞くのは二度目だった。



「な、か、体が動か…」


目の前の男が急停止した。それどころか動けないみたいだ。



「…これは」



『おい、まだ気づいてねーのか?下だよ、影見ろ』


声に言われた通り影を見る。店のライトに照らされて薄くなっている男の影と、

シルエットが明らかに私の影じゃあないもの、しかもこの明るさではおかしいくらいに濃い影が。


そしてその不思議な影が薄い影を取り押さえてる。


「もしかして…あなたが私のスタンド…?」




『そうだ、この鈍感』






[*prev] [next#]
top
第3回BLove小説・漫画コンテスト結果発表!
テーマ「人外ファンタジー」
- ナノ -