スタンドというもの [ 28/78 ]
一番厄介なのは失敗を犯して逃走中の強盗。
手負いの獣ほど怖いものはないというくらいだ。
何が言いたいかと言えば…
「くそっ、もう警察がきやがったッ」
現在、銀行強盗を失敗した男の人質の一人になろうとしています、
いや、なってます。
まるでドラマとかのように店内にいた人全員が一か所にまとめられて、しゃがんでいる。
店内にいたのは女性ばかり、これも困ったところ。
警察が店の前に集合して説得を始めるも、犯人はただただ苛立っているだけ。
「どうしよう…私たちどうなっちゃうの…」
「まだ死にたくないよ…」
さらに女性だけということもあって心細いのか泣いている人が多い。
それが犯人をさらに苛立たせている。
「……」
事態は最悪、犯人は一応銃を持っている。
けど…ここまであせっているということはミスも多い。
ここで私がスタンドを使えていたらと改めて後悔した。
『えらく、冷静だな』
「……え?」
振り向いても普通の子だけしかいない。
聞き違い?
空耳?
「お、おいお前、何きょろきょろしてやがる…」
「いえ、別に」
拳銃を突きつけて聞かなくてもいいと思う。
…でも震えている。
銃を脅しの道具として使っているなら、本当に打てる確率は低い。
何かに気を取られているところを突けば。
「…ねえ、少しだけ協力してくれるかな」
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