始まりの終わり [ 24/78 ]
バイト帰り、空は暗く人通りもほとんど無かった。
「あ、露伴先生にこの前のこと謝らないと」
莉緒さんがいったい何したかわからないけど、怒ってたし。
電話も知らないから謝り行こうかな、まだそこまで遅くないし。
忙しそうだったりしたらすぐに帰ろう。
そう思って私はいつもと同じ道を歩き出した。
『〜♪〜♪』
電話だ。
立ち止まって電話に出る。
『千里か』
承太郎さんだった。
「はい、どうしたんですか?」
こんな時間に、というより電話が来ること自体珍しいなと思っていた。
『花京院から話は聞いたか?』
「はい、スタンド使いがこの街にいる可能性があるとか。」
『今どこにいる?家か?』
その辺の自販機に書いてある住所を調べる。
「いえ、今帰るところで……にいます。」
『結構遅いな、バイトか?』
「バイトです。そう言えば承太郎さん、昨日は大丈夫でしたか?あの二人の面倒見させられてたみたいですけど」
『莉緒といるよりも楽だ。』
「…ですよね」
由紀ちゃん達のほうがしっかりしてるしな…うん。
『何より、早くに帰るようにしろ。お前はスタンド使いじゃあない、今回の事件に関与しているやつを見つけ出すまでは…』
「大丈夫ですよ、それにもしただの変質者なら私だって防衛くらいできます。だから心配…」
心配しないでください、その一言が言えなかった。
痛みはある、血も出ている。
鎖骨下から矢じりが出てきている。
心臓にも刺さったのか?刺さってたらもう死んでいるはず、
でも私は地面に座り込んだだけで、体は動かずとも倒れない。
『千里?どうした?』
「今…すごく…奇妙な体験をしています…よ…」
『千里!?なにがあったッ!?』
ケータイも持っていられず、落としてしまった。
承太郎さんの声が少し聞こえる。
助けも呼べない、血は止まらない、それでも死ぬことはない。
いったい何が起きているんだろう
「生きていたな、おめでとう」
暗くて顔はよく見えない、けれど男だ。
学生服というところから…高校生?
私には素質があるとか言っているけれど意味がわからない。
だいたい、何でこんなことになってるの?
「…私を…殺すの…?」
ひとつの話が頭をよぎった。
行方不明事件、もしかしてこのまま死んで、遺棄されるのか?
「殺す?何故?わたしは君の仲間だ、君のような才能を持つ仲間がほしいだけだ。」
「〜ッ!?」
矢を引き抜かれる。
すると、血が止まっていた。
その男は矢を持ちそのまま去って行った。
「いったいなんなの……」
追おうとはした、それでも腰が抜けて動けない。
「…どうしよう」
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