始まり [ 13/78 ]
困惑しているうちにいつの間にか不良の先輩の傷が見る見るうちに治っていた。
この感じは、確か見た。
あの時の、初登校の日にカバンを直した…
とは言ってもなんか違う感じになってるけど。
「やれやれこいつが…
こいつがおれの探していた…じじいの身内だとは」
「うん、みたいだね」
「…え、何これはなしについていけないんですが」
承太郎さんと莉緒さんがどんどんと話を進めていく。
仗助の怒りも静まったみたく、こちらに気付いたのかこちらを見た。
「千里?お前バイトは」
「あ、まあ色々あって。」
私の近くに来て、訊いてきた。
「東方仗助……」
承太郎さんが仗助に向けて何か言い出す。
…承太郎さんって仗助と知り合い?だとしたら莉緒さんとも知り合い?
一体どういうことなんだろうと思っていると、承太郎さんはとんでもないことを言った。
「父親の名前は……ジョセフ・ジョースター」
知っている人の名前、
ジョセフさん、承太郎さんの実の祖父。
ってことは、承太郎さんと仗助の関係は…
「…い、おーい千里ちゃん、フリーズしてるよー」
「――はッ!ちょ、ちょっとまってください、これって…」
「そうだ、血縁上甥と叔父だな」
脳が展開についていけていない。
ドロドロだ、状況が何気にドロドロで複雑だ。
多分仗助の方が大変だと思う、でも私もこんなことをいきなり聞いてかなり混乱している。
「大さわぎ……なんですか…?」
ほとんどの会話が耳に入らなかったけれど、とにかく承太郎さんの方では一悶着どころではないことが起きていたらしい。
「ああ…おばあちゃんのスージーQが結婚61年目にして怒りの頂点ってやつだぜ」
「うん、本当にあの時は怖かった……」
私はスージーさんにはあったことがないからわからないけれど、
承太郎さんや莉緒さんがそう言うのだからかなりみたいだ。
と、言うかそんな話聞いて仗助は一体どう思っていることか…
「すみませんです―――おれのせいでおさわがせしてッ!」
そういって仗助は承太郎さんに頭を下げた。
その場に居た一同一瞬ポカーンとした
「おい?…ちょっと待ちな…いったい何をいきなりあやまるんだ?」
「そうだよ、もっと他に言いたい事とかあるでしょ?」
そんな状況に承太郎さんと莉緒さんは戸惑った。
「いえ…えと…やっぱり家族がトラブルを起こすのはまずいですよ。」
きっと、二人は仗助に何かしら言われたり、怒られると思っていたはずだ。
あまり事情はわからない私でも、こんな話を突然聞いたらもっと何かなるって思う。
でも、仗助はそんなことなく…それどころか謝った。肩すかしもいいところ。
「あっ仗助くんだわっ!」
「仗助くーん」
「あら…また東海林さんと一緒に居るわ」
これからどうなるのか、そんなときに女子が集まってきた。
「今日も髪型カッコイイわよーっ」
「キャーッきまってるーっ」
女子がキャーキャー騒ぐごとに、承太郎さんがいらついているのが分かる。
嫌な予感しかしない
「承太郎の学生時代もこんな感じでしたねー」
莉緒さんが懐かしそうに言う。
「…おい…仗助まだ話はおわっていない…こいつらおっぱらえよ」
「女の子には優しくだよ?承太郎」
「お前は少し黙っていろ。くだらねー髪の毛の話なんてあとでしな」
承太郎さんがそう言った時、場が戦慄した。
「承太郎、それ禁止ワード」
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