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始まり [ 12/78 ]

「千里ちゃーん久しぶり!!」


「莉緒さ…ぐふっ」


そのままの勢いで抱きつかれて私はよろけた。


「…俺にもどうしようもなかった。」


承太郎さんが申し訳なさそうに言うけどこれは珍しい。

と、いうか莉緒さんは何故ここにいる。


「莉緒さん!なんでここに居るんですか!?家はどうしたんです!?
由紀ちゃんと司ちゃんはどうしたんです!?」



「いますよー」

「千里お姉ちゃん久しぶりー!」

「千里姉元気ー?」

「何親子で来てるんですか!!!」


抱きついていたのは三人だった。

それを見て承太郎さんはため息をつき、康一君は付いていけないという感じだった。


「おい、いい加減に本題に入らせてもらうぜ、莉緒てめーは少し大人しくしてろ」


「はいよ。」


「で、答えはどうなんだ、千里」

「…だからその前に質問の内容をですね」


だめだこりゃ。

その言葉が最も似合う瞬間だったと思う。
「何しとんじゃッ!」


さっき聞いた声が響く。





その方向を見ると噴水の前に不良の先輩数人に囲まれた仗助がいた。


仗助の服装について何か因縁をつけられているみたいだった。


「てめーもこのカメのようにしてやろうかッコラーッ」



仗助の近くに居たカメを電灯のコンクリートに向かって投げつけた。


「さ…さいてェー」


それを見て康一君がつぶやく。

仗助は何も言い返さない。


「っ!!」


「待て。」


こんな状況を見てられなくて、私が一言言おうとして行こうとしたら承太郎さんに止められた。


「自業自得ってヤツだ。お前が出ていく必要はない」


「…友達なんです」

「まあまあ、見ていなよ千里ちゃん。」


莉緒さんにも止められた。


「でも、仗助が…」

「仗助!?千里、仗助って言うのはあいつか?」


そうですけど、そう答えようとしたとき事は起きた。


「おい…先輩、あんた…今おれのこの頭のことなんつった!」


次の瞬間私が見たのはひとりでに飛んでいく不良の先輩だった。


この時何が起きたのかをきちんとわかっていたのは承太郎さんと莉緒さんだけだと思う。

「わあーお」

莉緒さんが言う。

そんなこと言ってる場合じゃない、仗助は一体どうしたというんだろう、

完全にキレている。


それに何もしてないのに人が吹っ飛ぶってどういうこと?


完全に何が起きたのか私と康一君はわからなかった。






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