始まり [ 11/78 ]
その日は朝からとんでもなく悪寒がしていた。
「じゃあ、先に帰るね」
「千里、またバイトか?じゃあーな」
でもそんな勘も当たらなかったのか、
この日無事に放課後までたどり着くことができた。
今日はバイトの日、まさかバイト中に何かあるなんてことはやめてほしいけど…
仗助と別れ、バイト先に向かおうと学校を出る。
「こらっ一年坊ッ!あいさつせんかいッ!」
上級生の声がする。
男子は大変だなーと思ってそちらを見たとき、そこにいた二人を見た。
一人は同じ学校の人のようだ。
そしてもう一人は…とんでもなく知り合いだった。
「承太郎さん!?」
「千里…まさか都合よく会えるとはな」
まさかの出会いだった。
どこかで見たことのある人、それは空条承太郎さん
知り合いだった。
「なにかあったんですか?こんなところに来て!アメリカに居たんじゃあ」
「『東方』という姓を千里は知っているか?」
こちらの質問はスル―ですか。
「あれ、君は…同じクラスの…」
「あ、確か広瀬康一君だよね」
承太郎さんと話していた少年は同じクラスの広瀬康一君だった。
康一君の背は男子にしては少し低めのためか、
承太郎さんと並ぶとこれはまた見事な凸凹となっている。
「おい、自己紹介は後にしろ」
「あ、すみません。えっとなんでしたっけ」
「……『東方』という姓の「承太郎ー!!先に行くなんてひどいじゃんか!!」」
…何か幻聴が聞こえた。
「承太郎さんつかぬことをお聞きしますが…まさか」
「…そのまさかだ」
女性がこちらに向かって走ってくる。
手も振っている。
その上すごい笑顔だ。
今日した悪寒は的中した。
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