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また来てしまう [ 8/78 ]




「遅くにすみません」

「本当に遅いな。」

「な、なんかすみません」


現在時間は8時を超えている。


つまりバイト帰り、なんでこんな時間にこの家、岸辺露伴先生の家にいるかと言うと…


なんか突然行かなくてはいけない気分になってしまった。

バイトが終わったからケーキを買って、
この前に倒れたところを介抱してもらったお礼をしに行くことにたんだ。

しかし、突然。何の脈絡もないのに突然そんな気分になった。

知らない人が訊けば普通と思うんだろうか、
だったらいいのかな、と思いつつある。


「…時間は設定しておくべきだな」


「え?」

「こっちの話だ。」


「はあ、」


時間設定?炊飯器とか録画機能とか?


まあ関係ないか。




「あ、これこの前のお詫びです。」



「ああ、どうも。」


玄関先、ケーキを渡してこの前の事を謝るといよいよ本当にやることはない。


「えっと、じゃあ帰ります」


「ちょっと待てくれ」


「?」


「君はこのケーキを全部ぼくに食べろと言っているのか?」


「一応そうですけど」


ケーキの数は確か3つ、我ながら適当すぎる数だとは思っていた。


でも2つじゃなんか少ない気もするし
1つじゃなおさら

だからといって4つだと多すぎるし、


なににせよ露伴先生は一人暮らしだし、ヘタに買ってもなと思った。


3つならきっと何とかなるだろうと思った。


彼女さんとかいればけっこうちょうどいいんじゃないかなとも思ったし


「一つは君が食べていってくれ。」

ちょっと予想してなかった答え。

「…え?」


「ぼくは朝も昼もケーキを食べるという気はない」


…ああ、男の人は甘いもの好きじゃない人多かったな。


これは失敗ってやつか。




でもそれは少し困る

「食べていくというのはいいんですが、もうこんな時間なんで」


「じゃあなんでこんな時間にここに来た?」


それを言われると困る。


すごく困る、ほとんど衝動的な感じにここに来てしまったから。


「…僕が君の家まで車で送っていく」


「いえいえ、さすがにそこまでしてもらうのはちょっと、なんか」

そんなに深い関わりあいを持つ人じゃないのにそこまでしてもらうのは、
心苦しいとかいうレベルを超えていた。


「今徒歩で帰ろうが、変わらないと思うけどな、不審者に遭遇する率は。

まあいい、そこまで言うなら帰れば」



…この人すねてないか?


扱いずらい、この人


絶対扱いずらい!!


「…お言葉に甘えさせていただきます。」



私が、折れよう。折れるっていうかなんて言うか…




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