-->避けろ!助けろ! | ナノ ▼23 本日、病院にて


また、白い部屋。

この前見た夢の私よりも成長し、中学生くらいになっていた。

相変わらずベットで寝ている。

でもなぜ?何故私はずっとこの部屋に居るの?

しんとした室内、ドアが開いて女の人が入ってくる。

この前の…私の母ではない。

とても悲しそうな顔をして、私に


『落ち着いて聞いて…莉緒ちゃん、あなたのご両親が…ここに来る途中に交通事故で亡くなったわ…』

目の前の私は、少し茫然とした後、女の人に何回も嘘だよね、と訊いていた。そして、泣き叫んでいた。

夢の覚める前の感覚、最後に聞こえた声は



『何で私ばかりこんな目に会うの!?』



と叫んでいた。




「そっか…」

夢から覚めて思った

あれは、まぎれもない私の過去。

元の世界には私の両親はいない、こんなこと、あったな。

意外と他人事のように私は過去を受け止めていた。

多分、あまり考えたくなかったんだ。

今考えたら、すべてのことができなくなってしまう気がして。


よくまわりを見る、ここは病室だ。しかも個室。

病室に居て、生きてるってことは、みんなゲブ神に勝つことができたんだ。

ほっと一息吐いて、この部屋から出ようと立ち上がろうとしたが、鋭い痛みが背中に走る。


立てない。…これはハングドマンにやられた時より重症だ。

座ってる分には痛くなかったから、わかんなかったけど。

「んー…困った。」


「当分は安静にとのことだ、莉緒。」


ドアが開いたかと思えばそこに居たのは

「アヴドゥルさん!どうしたんですか!?その怪我!」

首に包帯を巻いたアヴドゥルさんだった。

…この怪我する運命は変えられなかったってことか。


「ゲブ神との戦いでな、なにお前よりは軽症だ。…具合のほうはどうだ?」


「立てないという最大級の問題以外は大丈夫です。」

そう言うと、それは大変そうだな、と苦笑される。

「でも、勝てたみたいで良かったです。
ほかにけが人も出てないし。」

ただ単に、当分は入院しなきゃいけないのが難点すぎるけど。

私が言うと、アヴドゥルさんの顔つきが変わった。

え、私何かおかしなこと言った?

「…何故ほかにけが人が居ないとわかったのだ?」

「え?…!!」

そうだった、私は全然現状とか聞いてない!!

「か、カンってやつで「莉緒、おまえは未来を知っているのだろう?この旅の」!?」

なんで!?何でそこまでばれてるの?

「……」

何も言えなくなる。

ここでばれちゃダメなのに。

「始めにおかしいと思ったのは船で水兵を救った時だ。次に、私が生きていたということに気が付いていた。

そして最後に、今ケガ人はわたしたち以外誰もいないと分かったことだ。」


…看破されていた。

反論もごまかしも何も通用しないくらいに。


でも、

「言えません。そのことについては、絶対に。」

たとえ不信感を持たれようが、答えることはできなかった。


「それは、誰かから強制されていたりするのか?」


「いいえ、私の判断です。でも…たとえ私がこの旅の結末までを知っていたとしても
それを悪用するようなことはしません。」

そう、知っているからこそ、それ以上は言えなかった。


「そうか、ならばいい。立ち入った事を聞いて悪かった。」

意外な言葉だった。もっと違うことを言われるって思っていたのに。

「え…いいんですか?」

つい、そう聞いてしまった。

「莉緒なら、本当にこの旅の結末までを知っていたとしてもその知識を悪用しないと信じているからな。
いつか、話してくれる日が来るまで待つとしよう。」


「…ありがとうございます。」

安心した。よかった、これ以上は聞かれなくて。

信用…されていて。

「ところで莉緒、そろそろジョースターさんたちがここにやってくるのだが…誰がこの病室に来ると思う?」

さっきの話題からかなり外れた質問。
原作にないからわからないけど

「一番も何も、みんな一緒にじゃないんですか?」

と答えた。

「…こういう未来はわからないようだな。」

こういう未来?訊く暇もなくアヴドゥルさんは部屋を出っていってしまった。

わからない?でもこういうお見まいっていうのはみんなで来るんじゃないかな?

考え事をしていると、ドアがまた開いた。

看護師さんかなと思ったが違った。

「莉緒…!」

「カキョ!…あれ?他のみんなは?」

他にはだれもいないみたい。

もしかして、こういう未来って、これ?








bkm
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