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▼24 本日、強制退院と子供の日



「莉緒?すげー偶然だな、日本には多いのか?その名前」


「まあ、多いほうだな。」


偶然のほうに結びつけたよこの二人…泣きたい。


「君…」

カキョが私をよく見る。

も、もしかして気づいて…


「本当に迷子なら警察に行かないと。」


「…え」

いや、わかってた。変に期待した私が悪いんだ。

みんなの中の莉緒は17歳、5、6才だなんて思わないもの。

でも…カキョにまでわかってもらえなくて、
心のどこかがすごく痛んだ。


「……ごめんなさい、お兄ちゃん達!ふざけすぎちゃった!」




「なんだ、迷子じゃなくてやっぱり遊んでたんじゃねーか」


このまま居ても、きっと気付いてなんかくれない。

私の記憶は完全になくなるし、敵も来る。

その状態で戦ったら圧倒的不利。

「じゃあねーばいばい!!」

みんなから離れる。

…もう私から、みんなの名前は消えていた。


(三者視点)


莉緒が去り、三人はまだホテル前。


「それにしてもさっきの子供、かなり莉緒に似てなかったか?」

ポルナレフが笑いながら言う。

本人なのだからそれはそうである。


「たしかにそうだが、あいつは入院中だ。」

それに明らかに年が違うだろ、と承太郎が言う。


「…あのリボン、莉緒のと同じだ。
それに、何であんな格好で…」


「そう言えば、Yシャツ一枚だったな。」

承太郎が言うと、ポルナレフが貧乏なんじゃねーのと言う。

そんな二人を無視して、
花京院は考えていた。

((たしかに、入院している莉緒がここに居るわけがない。それも、子供になって。
リボンも名前も偶然かもしれない。
でも、もし莉緒が病院を抜け出して合流する前に敵に出会ってその能力が人を子供にする能力だったら…
きっと莉緒は信じてもらえなければ一人で何とかしようとする。
性格上、あり得ないことじゃあない。
それに、だとしたらつじつまも合う…))


花京院は、莉緒が走って行ったほうに走った。


「おい、花京院どうした!?」

突然走り出すものだから二人が驚く。

「僕の考えが正しければ、さっきの少女は莉緒だッ!!」


その言葉に、ポルナレフはハァ?という。

「ありえねーだろ、だいたいあいつは今病院だぜ?」

「もし彼女が病院を抜け出していたら?
しかもスタンド使いに遭遇した後だとすれば、
それならあり得るだろう!」


花京院の言葉に二人は莉緒の性格を思い出す。


「…たしかに、ありえるな、あの性格なら。」


「だな…」


二人も納得し、三人は莉緒を追いかけた。




「私…なんでこんなとこにいるの…?」


見たことのない風景に、薄暗くて人もいない通り。

完全に迷子。

「ぐすっ…」

涙があふれてきて、仕方ない。

誰もいないのが怖い。

たしか、誰かから逃げていた。逃げないと殺されてしまう。


さっきまで人のいる道を歩いていたのに、いつのまにかこんなところにでてしまって、怖くてたまらなかった。


「見つけたぜェー、莉緒」

「ひぅっ」

ぞくっとした、

後ろから聞こえてきた、

振り向くと、やつはいた。


わたしは、こいつから逃げないといけない。

そう思っても足は竦んで逃げられず、すぐに首を掴まれ、

「う…ぐ…」

「たしか、お前がスタンドを使えるようになったのはつい最近だったな…
それなら、このまま締め殺すかァ。」
息はできなくなっていた。

苦しい。

何でこんなことされているんだろう?

何で殺されそうなんだろう?

ああ、記憶がない、記憶が…


「エメラルドスプラッシュ!!」


意識がもうろうとしてきたときに、聞こえた声、

手が離れ、ようやく息ができるようになる。


「ゲホッゲホッ…」


むせた。死ぬかと思った。

「……」

首を絞めていた男は気絶していた。






「……は!」

アレッシーの意識は戻ったようだ。

「気付いたみたいだけど、どうする?莉緒」


「…決まってんでしょ、もちろん」


私以外全員がスタンドを出す。


だって溶かしちゃ勿体ないもの。

「いくぜ、ダメ押し」

スタープラチナは殴り、ハイエロファントグリーンはエメラルドスプラッシュを食らわせ、チャリオッツは剣で突きまくって、

私は思いっきり蹴とばした。


「ギャアアアアァァァァァッ!!!」


アレッシーははるかかなたに吹っ飛んで行った。



「ざまあみろ!!!」


叫んでも聞こえてないんだろうな。

まったく、今回は本当に危なかった。


「それにしても、本当に莉緒だったとはなー、気付かなかったぜ。」

「私はポルナレフを殴りたかったよ正直。」

そういうと、ポルナレフにしては珍しく申し訳なさそうにしていたから、嘘だよと言っておいた。


「花京院が気付かなかったら誰もわからなかっただろうな。」

「え、そうだったの?」


承太郎が言って改めて危なかったなと思った。

いや、そのまえに


「カキョ、わかったんだ。」

さっきの状態ではたぶんダメだろうなって思っていたから驚いた。

「だって、約束しただろ?次は僕が守るって。」


耳元で言われて、また心臓がバクバク言いだした。

し、心臓に悪すぎる。


「それにしても、莉緒は子供の時からかわいかったんだね。」


「子供の時のが素直でかわいかったな、たしかに。」


ポルナレフお前はケンカ売ってるのか。

じゃない、カキョさらっと何言った?

から?え?


「てか、本当にあの時のことは忘れてください。マジで。」


みんなのことをお兄ちゃんとか呼んでいた。

お兄ちゃん…記憶がなかったとは言え何て呼び方を…

「……」

「あれ?承太郎?どうしたの」


さっきから全然承太郎が会話に入ってこない。

なにがあったの?


「話しているのはいいが、まずは自分の服装を見ろ」


自分の服装?さっきからYシャツですが。

あれさっきまで話してた二人が私を見て目をそらしたんですが。


…Yシャ


「あああああああああああああああああっ!!!!」

子供化した時は大した問題に思ってなかったけど、スカートがない!!


つまりそれはもうパンツ丸見…


すぐにしゃがむ、Yシャツを伸ばす。


「みみみみみみ、見たね!見たよね!!」


いや、もしかしたら見えてないかも、Yシャツ大きめのだったし。




「僕は見ていない、Yシャツが長かったし。」

「おれもだ。スカートがないのには気づいたが。」


よ、よかった、見えてない、うん見えてない。

鉄壁のYシャツだ。絶対。


「ポルナレフも見てないよね!!」

「ああ、見えてないぜ。


ウサギなんか!」


…ウサギ



「柄を言うな!ポルナレフ!」

柄?

「……おい、てめえら…ばれてるぞ。」


うさぎ柄とか完全に見られてましたね本当にありがとうございまし…


「もうお嫁にいけないいいいいいいいいいいーっ!!!!」


この後ショックで泣きとおしていました。

適当な店でスカートを買ってきてもらい、みんなに慰められたりしたけど、

当分、ウサギはトラウマだった。



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